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燒木杙
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やけぼつくひ
彼は
南の
家から
借りた
鋸で
大小の
燒木杙を
挽切つた。
遂に
彼は
後から
燒けた
竹を
伐つて
來て
簀の
子のやうに
横へて
低い
床を
造つた。
竹を
伐つた
鉈も
彼の
所有ではなかつた。
勘次は
燒木杙を
地に
建てゝ
彼に
第一の
要件たる
假の
住居を
造つた。
近所から
聚めた
粟幹の
僅少な
材料が
葺草であつた。それは
漸と
雨の
洩るか
洩らないだけの
薄い
葺方であつた。