然者しかれば)” の例文
ます/\御壮健奉敬賀候。然者しかれば無申訳御無音戦栗せんりつ之至奉存候。御引移おんひきうつり並御召出の御祝儀参上可仕候処、公私※忙そうばう甚以はなはだもつて御疎濶罷過まかりすぎ不本懐ふほんくわい奉存候。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
程経て次第に警備ゆるみて候得者さふらへばそのゝちは心安くかの御許おんもとへ通ひ候、然者しかればこれは去年の秋より実に一年後のこと也
然者しかれば、去明治十一年六月七日、再造新富座開業之節、貴下ニ於テ在東京外国人ヲ御招待、且御厚遇被下くだされ候儀ヲ同国人ニテ深ク礼謝致シ候段ヲ申述ベ、且又該時種々御親切被成下なしくだされ候寸報迄
明治劇談 ランプの下にて (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
一簡いっかん奉啓上候けいじょうそうろう余寒よかん未難去候得共いまださりがたくそうらえども益々御壮健恐悦至極きょうえつしごく奉存候ぞんじそうろう然者しかれば当屋敷御上おかみ始め重役の銘々少しも異状かわり無之これなく御安意可被下候ごあんいくださるべくそうろうついては昨年九月只今思いだし候ても誠に御気の毒に心得候御尊父を
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
権少参事村上半蔵より申来まうしきたる如左さのごとし然者しかれば貴様儀御隠居様御不快為御看病出府被仰付候処、更に在番被仰付候旨、創殿はじむどの被仰渡候間、御談おんだんじ申候、以上。六月七日。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
然者しかれば先年一閑斎を狙ひ候は此の者の所為なること必定ひつぢやうに候。かのみぎり此の者の首は戦場に打棄て、観音の厨子づしと文ばかりを人知れずふところに入れて帰陣致し候間、桔梗の方逆心のことは誰一人も悟らず候。
然者しかれば兼而御話御坐候老人会、いよ/\重陽明日御催に付、拙子も罷出候様先日令弟御入之所、不在に付不得拝答。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)