濡髪ぬれがみ)” の例文
旧字:濡髮
濡髪ぬれがみをかぶつてわたしほゝとこへくつゝいたから、たゞすがいてじつとねむつた[「眠つた」に「ママ」の注記]おぼえがある。
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
肩に垂れた濡髪ぬれがみからも、また、茂みを吹く風のように、衣摺きぬずれの音でも立てそうな体毛からも、それはまたとない、不思議な炎が燃え上がっているのだ——緑色の髪の毛。
紅毛傾城 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
濡髪ぬれがみのほつれへ手をやりながらいうと、小姓の蘭丸は、うしろへすり寄って
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
旋風器せんぷうきの起す風はわが髪のしづくたるる濡髪ぬれがみとなるをすら救はずさふらへば、そのおとの頭に響くおといよ/\うとましく覚え、それもさふらうては身はたゞ𤍠湯の中にあると思はばよからんと心を定め申しさふらふ
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
濡髪ぬれがみ長き海藻かいそうや、珊瑚、海胆うにこけまでも
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
濡髪ぬれがみのなまめかしさに
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
なれがにほひの濡髪ぬれがみに。
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)