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濡々
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ぬれぬれ
ふりがな文庫
“
濡々
(
ぬれぬれ
)” の例文
……手拭を口に
銜
(
くわ
)
えた時、それとはなしに、
面
(
おもて
)
を人に
打蔽
(
うちおお
)
う風情が見えつつ、眉を優しく、
斜
(
ななめ
)
だちの横顔、瞳の
濡々
(
ぬれぬれ
)
と黒目がちなのが、ちらりと樹島に移ったようである。
夫人利生記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
という、
斜
(
ななめ
)
に見える市場の裏羽目に添って、
紅蓼
(
べにたで
)
と、露草の枯れがれに咲いて残ったのが、どちらがその
狐火
(
きつねび
)
の
小提灯
(
こじょうちん
)
だか、
濡々
(
ぬれぬれ
)
と
灯
(
とも
)
れて、尾花に
戦
(
そよ
)
いで……それ動いて行く。
古狢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
といった、お絹の目が
鯉
(
こい
)
の目より
濡々
(
ぬれぬれ
)
としたのが記憶にある……といった見物で。
白花の朝顔
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
此の
世盛
(
よざか
)
りの、思ひ上れる、美しき女優は、樹の緑
蝉
(
せみ
)
の声も
滴
(
したた
)
るが如き影に、
框
(
かまち
)
も
自然
(
おのず
)
から浮いて高い
処
(
ところ
)
に、色も
濡々
(
ぬれぬれ
)
と
水際立
(
みずぎわだ
)
つ、
紫陽花
(
あじさい
)
の花の姿を
撓
(
たわ
)
わに置きつゝ、
翡翠
(
ひすい
)
、
紅玉
(
ルビイ
)
、真珠など
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
樹の緑蝉の声も
滴
(
したた
)
るがごとき影に、
框
(
かまち
)
も
自然
(
おのず
)
から浮いて高い処に、色も
濡々
(
ぬれぬれ
)
と水際立つ、
紫陽花
(
あじさい
)
の花の姿を
撓
(
たわ
)
わに置きつつ、
翡翠
(
ひすい
)
、
紅玉
(
ルビイ
)
、真珠など、
指環
(
ゆびわ
)
を三つ四つ
嵌
(
は
)
めた白い指をツト挙げて
伯爵の釵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
襦袢
(
じゅばん
)
も、素足も、櫛巻も、紋着も、何となくちぐはぐな処へ、色白そうなのが濃い化粧、口の大きく見えるまで
濡々
(
ぬれぬれ
)
と
紅
(
べに
)
をさして、細い
頸
(
えり
)
の、真白な
咽喉
(
のど
)
を長く、明神の森の遠見に、伸上るような
売色鴨南蛮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
濡々
(
ぬれぬれ
)
とおくれ毛が頬にかかるのが、ゾッとするまで冷く見えた。
露萩
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
濡
漢検準1級
部首:⽔
17画
々
3画
“濡”で始まる語句
濡
濡衣
濡縁
濡手拭
濡色
濡鼠
濡羽
濡髪
濡手
濡須