“溌(は)” の例文
池は玉(ぎょく)もて張りたらんやうに白く湿める水の面(も)に、静に魚の溌(は)ぬる聞こえて、瀲灔(ちらちら)と石燈籠の火の解くるも清々(すがすが)し。塀を隔てて江戸川縁(べり)の花の林樾(こずえ)は一刷(ひとはけ)に淡く、向河岸行く辻占売の声幽(ほの)かなり
巣鴨菊 (新字旧仮名) / 正岡容(著)
半纏(はんてん)を脱(ぬ)いだあとで、頬(ほゝ)かぶりを取(と)つて、ぶらりと提(さ)げると、すぐに湯氣(ゆげ)とともに白(しろ)い肩(かた)、圓(まる)い腰(こし)の間(あひだ)を分(わ)けて、一個(いつこ)、忽(たちま)ち、ぶくりと浮(う)いた茶色(ちやいろ)の頭(あたま)と成(な)つて、そしてばちや/\と湯(ゆ)を溌(は)ねた。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)