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湯豆府
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ゆどうふ
身體が
弱くおなりに
成つてからは、「
湯豆府の
事だ。……
古人は
偉い。いゝものを
拵へて
置いてくれたよ。」と、
然うであつた。
たゞし、その
頃は、まだ
湯豆府の
味は
分らなかつた。
眞北には、
此の
湯豆府、たのしみ
鍋、あをやぎなどと
言ふ
名物があり、
名所がある。
ブリキの鐵瓶に
入れて、ゴトリ/\と
煮て、いや、うでて、そつと
醤油でなしくづしに
舐めると
言ふ。——
恁う
成つては、
湯豆府も
慘憺たるものである。……
……ぢきその
飛石を
渡つた
小流から、お
前さん、
苫船、
屋根船に
炬燵を
入れて、
美しいのと
差向ひで、
湯豆府で
飮みながら、
唄で
漕いで、あの
川裾から、
玄武洞、
對居山まで