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淪落
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りんらく
ふりがな文庫
“
淪落
(
りんらく
)” の例文
のみならず、日本は北支那より退却し、
退嬰自屈
(
たいえいじくつ
)
の政策の下に、国運の日に
淪落
(
りんらく
)
に傾くことを如何ともなし能わざるに至るであろう。
武装せる市街
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
これを如何ともするに
由
(
よし
)
なく、ただ空しく、遠方から
淪落
(
りんらく
)
の痴漢の暗き行末を、あわれみの眼もて見送るより外に、せん
術
(
すべ
)
がないのである。
霊訓
(新字新仮名)
/
ウィリアム・ステイントン・モーゼス
(著)
フランス映画「居酒屋」でも
淪落
(
りんらく
)
の女が親切な男に救われて一│
皿
(
さら
)
の
粥
(
かゆ
)
をすすって眠った後にはじめて長い間かれていた涙を流す場面がある。
自由画稿
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
それはただ薄汚いばかりで、本来つまらぬものであり、魂自体の
淪落
(
りんらく
)
とつながるものではないと信じていたからであった。
いずこへ
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
放火
(
ひつけ
)
をした女、どろぼうした女、殺した女、殺された女、およそ問題になるほどの
淪落
(
りんらく
)
の女を調べる気になりました。
大菩薩峠:29 年魚市の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
▼ もっと見る
この見地からして二葉亭は無知なる
腹掛股引
(
はらがけももひき
)
の職人を紳士と見て交際し、
白粉
(
おしろい
)
を塗った
淪落
(
りんらく
)
の女を貴夫人同様に待遇し、渠らに恩恵を施しつつ道徳を説き
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
どこまで
淪落
(
りんらく
)
して行く姉であろう、どこまで
荒
(
すさ
)
んで行く心であろう——一つはそれも心配でならないのだった。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
静軒は
此
(
かく
)
の如く
阨窮
(
やくきゅう
)
流離の一生を送ったが、異腹の兄の零落するを見てはこれを扶助し、友人の子孫の
淪落
(
りんらく
)
するものにもまたその獲る所の金を分ち与えたという。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
淪落
(
りんらく
)
の雑種の女の
美人局
(
つつもたせ
)
に掛ったりするので、なか/\内部地方へ入って行けなかった。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
おのれの
淪落
(
りんらく
)
の身の上を恥じて、帰ってしまったものとばかり思っていたのである。
デカダン抗議
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
故に英雄豪傑の不幸に
淪落
(
りんらく
)
するは、其人の心、之を然らしむるにはあらずして、皆な天命神意に出づるものなりと。又、ゾホクレス、ヲイリピデス等の戯曲は多く
此
(
この
)
傾きあるが如し。
罪過論
(新字旧仮名)
/
石橋忍月
(著)
あらゆる
淪落
(
りんらく
)
とあらゆる不運との極端に、最後の一悲惨が存するものであって、この悲惨は猛然と反抗して立ち、幸福な事実や勢力ある権利などの全体に対して決然と戦いを宣するのである。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
しかるにその上﨟が現在はどれほどまで
淪落
(
りんらく
)
しているか。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
即ち、僕の青春論は同時に
淪落
(
りんらく
)
論でもあるという、そのことは読んでいただけば分るであろう。
青春論
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
はやくも宋江の旅情に似た胸には、
淪落
(
りんらく
)
の女が夜舟に
奏
(
かな
)
でる
絃々
(
げんげん
)
哀々
(
あいあい
)
の声が思い出されている。が、さて、その夜彼が味わったものは何か。もちろん、過去にはあったそんな風雅ではない。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
罪過とは悲哀戯曲中の人物を悲惨の境界に
淪落
(
りんらく
)
せしむる
動力
(
モチイブ
)
(源因)なり
罪過論
(新字旧仮名)
/
石橋忍月
(著)
淪落
(
りんらく
)
のどん底に落ちた女が昔の友に救われてその下宿に落ち着き、そこで一
皿
(
さら
)
の
粥
(
かゆ
)
をむさぼり食った後に
椅子
(
いす
)
に
凭
(
よ
)
ってこんこんとして眠る、その顔が長い間の辛酸でこちこちに固まった顔である。
映画雑感(Ⅲ)
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
その当然堕ちるべき地獄での遍歴に
淪落
(
りんらく
)
自体が美でありうる時に始めて美とよびうるのかも知れないが、二十の処女をわざわざ六十の老醜の姿の上で常に見つめなければならぬのか。
堕落論
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
この青年達は私の「堕落論」とか「
淪落
(
りんらく
)
論」がなんとなく本当の言葉であるようにも感じているらしいが、その激しさについてこれないのである。彼等は何よりも節度を尊んでいる。
風と光と二十の私と
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
“淪落”の意味
《名詞》
淪落(りんらく)
落ちぶれること。
堕落すること。
(出典:Wiktionary)
淪
漢検1級
部首:⽔
11画
落
常用漢字
小3
部首:⾋
12画
“淪”で始まる語句
淪
淪胥
淪謝
淪陥区