浪宅らうたく)” の例文
忍んで暮し向のことなんか話し込むわけがないぢやありませんか、こいつは唯事でないと思つたから、早速裏の六軒長屋の江柄三七郎の浪宅らうたくを覗いて見ましたよ
銭形平次捕物控:311 鬼女 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
吟味致すべき旨に付同心どうしん委細ゐさいかしこまり候とて夫よりまづ山口惣右衞門浪宅らうたく
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
平次は貧しい浪宅らうたくに通つて、玄關も居間も兼ねた、とつつきの六疊に通りました。
うつしける時に天忠は大膳にむか先達せんだつての手紙にて伊豫の藤が原とかに住居すまひたる由は承知しようちしたり彼地にて家業かげふは何を致し候や定めていそがしき事ならんとのたづねに大膳は然氣さりげなく御意ぎよいの如し藤が原に浪宅らうたく
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
見んとするに浪人者は最早もはや日暮方ひぐれがたなれば徐々そろ/\仕舞しまひて歸る樣子ゆゑ長八はあとつきて行けるに下谷山崎町なる油屋といふ暖簾のれんかゝりうら這入はひりしかば長八も同じくつゞいて這入見るに九尺二間如何にも麁末そまつなる浪宅らうたくなるにぞ長八は内のてい
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)