津軽海峡つがるかいきょう)” の例文
十二日は朝から曇った寒い日であったが、予想のごとく、敵の浦塩艦隊うらじおかんたい津軽海峡つがるかいきょう襲来しゅうらいして、商船奈古浦丸なこのうらまる轟沈ごうちんしたという知らせが来た。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
ああ北海道、雑嚢ざつのうを下げてマントをぐるぐるいてかたにかけて津軽海峡つがるかいきょうをみんなと船でわたったらどんなにうれしいだろう。
或る農学生の日誌 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
「次に、アラスカ飛行聯隊は、午後十時、北海道、根室湾ねむろわんを、占領した。聯隊は、更に、津軽海峡つがるかいきょうを征服し、青森県大湊要港おおみなとようこう占拠せんきょせんものと、機会をうかがっている模様である」
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
東郷大将はバルチック艦隊が対馬海峡つしまかいきょうを通るか、津軽海峡つがるかいきょうへ出るか、あるいは遠く宗谷海峡そうやかいきょうを廻るかについておおいに心配されたそうだが、今吾輩が吾輩自身の境遇から想像して見て
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
東北日本の陸地の生まれたとき津軽海峡つがるかいきょうはおそらく陸でつながっていたのではないかと思われるが、それがその後の地変のために切断してそれが潮流のために広く深く掘りえぐられた
日本人の自然観 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
津軽海峡つがるかいきょう、トラピスト、函館はこだて五稜郭ごりょうかく、えぞ富士ふじ白樺しらかば小樽おたる、札幌の大学、麦酒ビール会社、博物館はくぶつかん、デンマーク人の農場のうじょう苫小牧とまこまい白老しらおいのアイヌ部落ぶらく室蘭むろらん、ああぼくかぞえただけでむねおどる。
或る農学生の日誌 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)