注進ちゅうしん)” の例文
芸人の妻の癖に、かも注進ちゅうしんする相手の男の性質を知ったなら、それほど煽られずともよさそうなものをお艶はまともにそれを受けた。
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
高麗屋敷こうらいやしきの尺取り横町、櫛巻きお藤の家にくすぶっていたのですが、柳生の里から応援隊が入京はいったと聞いて、さっそく注進ちゅうしんにまかりでてみると——。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
春の訪れと共に、梁山泊りょうざんぱくに一しゅう注進ちゅうしんが聞えた。——再編成された官軍の捕盗船隊三、四百艘が、石碣村せっかそんの入江から沖を埋めて、機をうかがっているという報である。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
こうなっては聞き捨てにならないと思ったので、彼は早々に引っ返して親父の庄作に注進ちゅうしんした。
廿九日の牡丹餅 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
しかし、さいわい、仙場甲二郎の注進ちゅうしんによって、山塞さんさいのなかは大騒ぎになった。
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
と君子さんが血相けっそうを変えて注進ちゅうしんした。お風呂場で洗濯せんたくをしていたお母さんは
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
小楯おだてはそれから急いでみんなを集めて、仮のお宮をつくり、お二人をその中にお移し申しました。そして、すぐに大和やまとへ早うまの使いを立てて、おんおば上の飯豊王いいとよのみこにご注進ちゅうしん申しあげました。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
きょうも、途中雷雨にあって、ズブぬれとなりながら野馬のうまをとばして人穴へかえってきた三人の諜者ちょうじゃは、すぐ呂宋兵衛るそんべえのまえへでて、五湖のあたりにおこった急変を注進ちゅうしんした。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それから二時ふたときほどの後に、鷲はふたたび海岸近く舞い下がって来たという注進ちゅうしんを聞いて、鉄砲方の矢崎伝蔵が直ぐに駈けつけたが、たまは左の羽をかすめただけで、これも撃ち洩らしてしまった。
(新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
どこへ行く気? 御書院番頭脇坂山城守の屋敷へ注進ちゅうしんに。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
注進ちゅうしんしたので、母親は直ぐに立って行った。
脱線息子 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
大給おぎゅうの松平近正が、約を破って、浜松へ注進ちゅうしんするおそれがある——ということをである。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
善八もおどろいて、すぐに表へ飛び出して注進ちゅうしんすると、半七は舌打ちした。
半七捕物帳:30 あま酒売 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
注進ちゅうしんした通り、夕御飯の折、お母さんは
親鳥子鳥 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
と薬局生が注進ちゅうしんに及んだ。
親鳥子鳥 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)