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沽
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う
ふりがな文庫
“
沽
(
う
)” の例文
蘭軒は此年病の為に困窮に陥つて、蔵書をさへ
沽
(
う
)
らなくてはならぬ程であつた。そこで知友が
胥謀
(
あひはか
)
つて、
頼母子
(
たのもし
)
講様の社を結んで救つた。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
「
沽
(
う
)
りたいとも、沽りたいとも。しかし、めったな人には沽りたくないものじゃ。まあ目利きの買手がつくまで、当分待つとするかな。ははは。」
論語物語
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
わしは、あんたがお困りのようだから、お泊めはしたが、わしの家は食物を売ったり、飲物を
沽
(
う
)
ったりする所でないから、手すくなでゆきとどかん。
阿繊
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
かくてこの身はやうなき
貨
(
しろもの
)
となりぬ。
縱
(
たと
)
ひ
羅馬
(
ロオマ
)
わたりに持ち往きて
沽
(
う
)
らんとし給ふとも、
盾銀
(
たてぎん
)
一つ出すものだにあらじ。
廉
(
かど
)
ある
生活
(
なりはひ
)
の
業
(
わざ
)
をも知らず。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
彼がかうして書風を改めてゐるのは、人の頼みを受けて書を
沽
(
う
)
つて、生活の助けとした為の稽古から来てゐることは勿論だが、其はほんの外側の原因である。
橘曙覧評伝
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
▼ もっと見る
「ここに美玉あり。
匱
(
ひつ
)
に
韞
(
おさ
)
めて
蔵
(
かく
)
さんか。
善賈
(
ぜんか
)
を求めて
沽
(
う
)
らんか。」と子貢が言った時、孔子は
即座
(
そくざ
)
に、「これを沽らん
哉
(
かな
)
。これを沽らん哉。我は
賈
(
あたい
)
を待つものなり。」
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
香華を
沽
(
う
)
る店とて見当らなかつたので墓畔水いろの小さな花を咲かせてゐた勿忘草の一と束を毮り取つて手向け戦後いのち全く再び郷土に帰住した報告をして、しづかに去つた。
下谷練塀小路
(新字旧仮名)
/
正岡容
(著)
彼女は自分の美徳を認めるものが現われ出るまで、それを
沽
(
う
)
ろうと企てたことが
嘗
(
かつ
)
てない。沽ろうとした瞬間に美徳が美徳でなくなるという第一義的な真理を本能の如く知っているのは彼女だ。
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
一字未嘗沽 一字未だ嘗て
沽
(
う
)
らず。
閉戸閑詠
(新字旧仮名)
/
河上肇
(著)
匵
(
とく
)
に
韞
(
おさ
)
めて諸を蔵せんか。
善賈
(
ぜんこ
)
を求めて諸を
沽
(
う
)
らんかと。子曰く、之を沽らんかな。我は賈を待つ者なりと。
論語物語
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
五年の後に夫が将軍に謁した時、五百はこの支度の一部を
沽
(
う
)
って、夫の急を救うことを得た。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
そしてその何人の
所為
(
しよゐ
)
なるを探るに及んで、これを
沽
(
う
)
つたものの昌盈なるを知つた。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
既にして岡本氏の家衰えて、
畑成文
(
はたせいぶん
)
に託してこの
巻
(
まき
)
を
沽
(
う
)
ろうとした。成文は
錦小路
(
にしきこうじ
)
中務権少輔
(
なかつかさごんしょうゆう
)
頼易
(
よりおさ
)
に勧めて元本を買わしめ、副本はこれを
己
(
おのれ
)
が家に
留
(
とど
)
めた。錦小路は京都における丹波氏の
裔
(
えい
)
である。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
沽
漢検1級
部首:⽔
8画
“沽”を含む語句
太沽
大沽
沽券
沽却
沽売
沽未士
直沽