水漬みづ)” の例文
あやまてり。われ擬兵とあなどって、ついに孔明の計に陥つ。夜に入っていよいよ風波が加われば、空しくここに水漬みづかばねとなり終ろうも知れぬ」
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
大来目主おほくめぬしと、ひ持ちて仕へしつかさ、海行かば水漬みづかばね、山ゆかば草むす屍、おほきみのにこそ死なめ、かへりみはせじと言立ことだ
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
水底みなぞこ水漬みづく白玉となつた郎女の身は、やがて又一幹ひともとの白い珊瑚のである。脚を根とし、手を枝とした水底の木。頭に生ひ靡くのは、もう髪ではなく、藻であつた。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
「じゃ行きな。海行かば水漬みづかばね、てなことにはなるなよ」
幻化 (新字新仮名) / 梅崎春生(著)
搖れ泳ぐ蛙子かへるご見ればくろぐろとひたり水漬みづきぬ底に群るるは
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
水漬みづや、——今宵こよひほし
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
水底みなぞこ水漬みづく白玉なる郎女の身は、やがて又、一幹ひともとの白い珊瑚さんごの樹である。脚を根、手を枝とした水底の木。頭に生いなびくのは、玉藻であった。玉藻が、深海のうねりのままに、揺れて居る。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
揺り泳ぐ蛙子かへるご見ればくろぐろとひたり水漬みづきぬ底に群るるは
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
水漬みづ眞菰まこものみだれ
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
明らかに水漬みづく根方の葦茎は突き入るごとし影に折れつつ
海阪 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
水漬みづく葉の眞菰のみだれ
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
夏ごとに出水に水漬みづ河楊かはやなぎわた白うして老いにけるかも
海阪 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
水漬みづ磯根いそねあし
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
岩清水かさみたる杉の葉の下べ紅せり水漬みづかぬはまだ
海阪 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
水漬みづく磯根の葦の葉を
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)