歩行あゆま)” の例文
ぬすみ出し其上そのうへ臺所だいどころへ火を付何處いづくともなく迯失にげうせけり折節をりふしかぜはげしく忽ち燃上もえあがりしかば驚破すは火事くわじよと近邊大に騷ぎければ喜八はまご/\して居たりしが狼狽うろたへ漸々やう/\屋根よりはおりたれ共あしちゞみ歩行あゆまれず殊に金子と庖丁はうちやう
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
松山迄送りつかはすべし又其許に折り入てはなたき事も有により徐々そろ/\歩行あゆまれよと申に元來正直なる半四郎ゆゑ少しも是を疑はずまことに御深切の段有難く存じ奉つる然らば仰に隨ひ申べしと立上り夜のふけしを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
夜更よふけ出立しゆつたつ致させたるは不審いぶかしき事なり何故夜明て後出立致させぬそと有りけるに長庵さればにて候私儀呉々くれ/″\弟に夜が明て後出立しゆつたついたし候樣に申聞せ候へ共在所ざいしよに殘し置たる妻や娘に一こくも早く安堵あんどさせ度たびは朝こそ敢果取はかどれば最早もはや寅刻なゝつすぎたるゆゑ少し歩行あゆまば夜もあけなんと止むるを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)