横付よこづけ)” の例文
すると、そこにあにくるまかつと云ふのがゐた。ちやんと、護謨ごむ輪のくるまを玄関へ横付よこづけにして、叮嚀に御辞義をした。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
さして來りければ道筋みちすぢ見物けんぶつやまをなしておびただしく既に御城代屋敷へ到り乘物のりもの玄關げんくわん横付よこづけにせん氣色けしき
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
玄關へ横付よこづけにせられ西湖せいこの間にて將軍に御對顏たいがんあらばお沓はお用ひなしゆゑに宮樣と宰相とは主從しゆじうの如くなれど今少し官位の相違さうゐあらんかと答へらる越前守是をきかれ然らば天一坊を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
明日あす食われるか明後日あさって食われるかあるいはまた十年ののちに食われるか鬼よりほかに知るものはない。この門に横付よこづけにつく舟の中に坐している罪人の途中の心はどんなであったろう。
倫敦塔 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
今までと違って威勢があまり好過よすぎると思ううちに、二人の俥は狭い横町を曲って、突然大きな門をくぐった。自分があわてて、車夫を呼び留めようとした時、梶棒かじぼうはすでに玄関に横付よこづけになっていた。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)