柳町やなぎちょう)” の例文
小石川区内では○植物園門前の小石川○柳町やなぎちょうさす谷町やちょう辺の溝○竹島町たけしまちょうの人参川○音羽おとわ久世山くぜやま崖下の細流○音羽町西側雑司ぞうしより関口台町せきぐちだいまち下を流れし弦巻川つるまきがわ
葛飾土産 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
一船のせよう。あいかわらず女の出来ない精進男に、すじか、竹輪か、こってりとした処を食わせたい。いや串戯じょうだんはよして、内は柳町やなぎちょう、菎蒻閻魔のすぐわきだ。
雪柳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
さいが本郷の親類で用を足した帰りとかに、水見舞のつもりで柳町やなぎちょうの低い町から草平君の住んでいる通りまで来て、ここらだがと思いながら、表から奥をのぞいて見ると
思い出す事など (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
時時折助おりすけを引っぱって桜町さくらちょうへ飲みに来たり、こっそりと柳町やなぎちょうへ遊びに出たりするくらいのことで、毎日おもしろくもない甲州の山ばかりをにらめて暮らしていましたが
大菩薩峠:08 白根山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
その当時、京の土地で公認の色町と認められているのは六条柳町やなぎちょうの遊女屋ばかりで、その他の祇園ぎおん、西石垣、縄手、五条坂、北野のたぐいは、すべて無免許の隠し売女ばいじょであった。
鳥辺山心中 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
小石川柳町やなぎちょうには一方に本郷よりおりる坂あり、一方には小石川より下る坂があって、互に対峙たいじしている。
その上あの谷へ下りると、南が高い建物でふさがっているのと、放水みずはきがよくないのとで、往来はどろどろでした。ことに細い石橋を渡って柳町やなぎちょうの通りへ出る間が非道ひどかったのです。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
小石川春日町こいしかわかすがまちから柳町やなぎちょうさすちょうへかけての低地から、本郷ほんごう高台たかだいを見る処々ところどころには、電車の開通しない以前、即ち東京市の地勢と風景とがまだ今日ほどに破壊されない頃には