枕刀まくらがたな)” の例文
枕刀まくらがたなにした小さなゾーリンゲンの庖丁ほうちょうをとりあげ、いきなり、ぐさりとかぼちゃの横腹につき立てて、大吉たちをおどろかした。
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
ガバとはね起きた石見守いわみのかみ大久保長安おおくぼながやすは、悪夢あくむにおびやかされたように、枕刀まくらがたなを引ッつかむなり、桜雲台本殿おううんだいほんでん自身じしん寝所しんじょから廊下ろうかへとびだした。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼はすべての人の精神のうちに進歩の観念をうち立てる。彼が鍛える救済の信条は、各時代にとっての枕刀まくらがたなである。
「お村殿には御用人何某と人目を忍ばれさふらふ」とあざむきければ、短慮無謀の平素ひごろを、酒に弥暴いやあらく、怒気烈火のごとく心頭に発して、岸破がば蹶起はねおき、枕刀まくらがたな押取おつとりて、一文字に馳出はせい
妖怪年代記 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
傷はのどに一ヶ所だけ、主人の部屋が遠かったので、誰も気が付かなかった様子です。寅五郎の枕刀まくらがたなはありますが、これには手を付けず曲者くせものの使った兇器は家の中にも外にも見当りません。
枕刀まくらがたなを、早瀬は取ってさやを払った。
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
傷はのどに一ヶ所だけ、主人の部屋が遠かつたので、誰も氣が付かなかつた樣子です。寅五郎の枕刀まくらがたなはありますが、これには手を付けず曲者の使つた兇器は家の中にも外にも見當りません。