望楼ぼうろう)” の例文
そのころ、人穴城ひとあなじょう望楼ぼうろうのうえにも、三つの人影があらわれた。大将呂宋兵衛るそんべえに、軍師ぐんし丹羽昌仙にわしょうせん、もうひとりは客分の可児才蔵かにさいぞう
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
醤主席は、重工業地帯からちょっと放れたところにある望楼ぼうろうへのぼって、村の様子を見渡した。
モスクワまでも見えるような高い高い望楼ぼうろうのついた宏壮こうそうな邸宅を構え、そこで毎晩、爽々すがすがしい外気を浴びながらお茶を飲んだり、何か愉快な問題について論じあう、それからまた
望楼ぼうろうある山の上まで耕され
五百五十句 (新字旧仮名) / 高浜虚子(著)
おりから、望楼ぼうろうの上へ、かけあがってきたのは、とどろき又八であった。黒皮胴くろかわどう具足ぐそく大太刀おおだちを横たえ、いかにも、ものものしいいでたちだ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ただ、かの醤の陣営の目印のような高き望楼ぼうろうには、翩飜へんぽん大旆おおはたひるがえっていた。
望楼ぼうろうへ上って、東の方を見ると、北陸街道に沿う脇本の辺に、羽柴方の一軍が早や旌旗せいきを現わして来た、と告げるのであった。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
また、人穴城では、いまの敗北をいかった呂宋兵衛るそんべえがこんどはみずから望楼ぼうろうをくだり、さらに精鋭せいえい野武士のぶし千人をすぐってあらしのごとく殺到さっとうした。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「城兵が死を決して出てくる公算こうさんは多分にある。まず、さくをたてよ。桝形ますがた望楼ぼうろうきずけ。そして、城内へ、遠矢とおや、鉄砲を撃ちこみ、昼も夜も眠らすな」
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
寄手は、三の丸に、また望楼ぼうろうを組んだ。そして目の下の二の丸へ、火箭ひや、鉄砲の雨をそそいだ。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そのかみ、いかなる王侯が居を構えていたものか、規模広大な山城であるが、山嶂さんしょう塁壁るいへき望楼ぼうろうはすべて風化し、わずかに麓門ろくもんや一道の石階せっかいなどが、修理されてあるかに見える。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と——先に行った吉宗は、鉄のような厚いけやきの階段を踏んで、本丸の望楼ぼうろうのぼったようです。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
上月城のほうを秀吉が見ると、一夜に城の望楼ぼうろうが破壊されている。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、そこの望楼ぼうろうから、鎮台大路を見下ろしながら怪しんでいた。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
城の望楼ぼうろうを下りて、自分の居間にもどると、藤吉郎は
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
望楼ぼうろうをのぞんで、彼は駈けのぼった。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
鹿之介は、望楼ぼうろうから眺めて
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)