断念だんねん)” の例文
旧字:斷念
彼は、山を下りることを朝まで断念だんねんするしかないと思った。むりをして下りれば、足をふみすべらして谷底へ落ちるおそれがある。
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
だが、どうしたのかいっこうにつれない、一時間ばかりたっても、一の小魚さえかからない。ドノバンは断念だんねんしてさおをあげた。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
その消息しょうそくられなかったので、やむをえず伊那丸いなまるとのやくそくもあるので、いちじ断念だんねんして、参会さんかいしたのであった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
これで、今べつに改まって御沙汰はなくても、伊豆伍の油御用は永続的なものとなり、従って、筆幸としては痛い釘を一本刺された形で、スッカリ断念だんねんしなければならなかった。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
はとの仲間入なかまいりすることは断念だんねんしましたが、みやこそらけむりでいつもにごっていて、それに、さがすようなごみためがいたってすくないので、そこにいるあいだえをしのんでいなければなりませんでした。
馬を殺したからす (新字新仮名) / 小川未明(著)
その証拠には、先生は、その声がすると、急に次郎を机から引きはなすことを断念だんねんし、その代りに、机もろ共、次郎をうしろから抱きかかえて、廊下に出し、戸をびしゃりと閉めてしまったのである。
次郎物語:03 第三部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
それにもかかわらず、蜂谷艇長はじめ四人の乗組員の決心は固く、この探険を断念だんねんはしなかったのである。
月世界探険記 (新字新仮名) / 海野十三(著)
ゆうべぼくはなぜか寝苦ねぐるしくってしかたがなかった、ぼくは千を数えた、だがまだねむれない。ぼくはとうとう寝ることを断念だんねんした、外の夜気にでもあたってみようと、そっと寝床ねどこをぬけだした。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
「ふーむ、ではいよいよ人穴攻ひとあなぜめは断念だんねんでござるか」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「うむ。ざんねんながら断念だんねんのほかない」
海底大陸 (新字新仮名) / 海野十三(著)