斑入ふいり)” の例文
せめてこの淡灰色の斑入ふいり毛衣けごろもだけはちょっと洗い張りでもするか、もしくは当分のうち質にでも入れたいような気がする。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
中にも真円まんまる磨硝子すりがらすのなどは、目金をかけたふくろうで、この斑入ふいりの烏め、と紺絣こんがすり単衣ひとえあざけるように思われる。
雪柳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
斑入ふいりたまの耳かざり
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
だいを払って表へ出ると、門口かどぐちの左側に、小判こばんなりのおけが五つばかり並べてあって、その中に赤い金魚や、斑入ふいりの金魚や、せた金魚や、ふとった金魚がたくさん入れてあった。
夢十夜 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
文明の詩は金剛石ダイヤモンドより成る。むらさきより成る。薔薇ばらと、葡萄ぶどうの酒と、琥珀こはくさかずきより成る。冬は斑入ふいりの大理石を四角に組んで、うるしに似たる石炭に絹足袋きぬたびの底をあたためるところにある。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)