おそわ)” の例文
だから草を結んで蓑を作った歴史は甚だ古い。だが蓑は日本で生れたものか、これも必定ひつじょう支那からおそわった技であったと考えられる。
蓑のこと (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
父の椿岳が油絵をおそわったのは、横浜にいましたワグマンという人で、この人の油絵は山城宇治の万碧楼菊屋という茶屋に残っています。
誰かにおそわったね。だあれかも、またいまのようなうまい口に——欣さん、門も、屋根も押入も……そして、貴女あなたは、誰のもの?
錦染滝白糸:――其一幕―― (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ある時この人が私にうに、僕は学校に於ておそわったことは何も役に立たなかった、しかし少しばかり学んだ哲学が僕に非常な利益を与えたと。
女子教育に就て (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
そして学校では実物を完全に離れた文字だけの理科をおそわり、家へ帰っては『三国志さんごくし』と『西遊記さいゆうき』とにっていた。
簪を挿した蛇 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
ほかの事とちがうからな。おそわったり勧められたりしたんじゃ、うまく行かねえだろう。女給でも芸者でも人に勧められてなったものは適材適処とはいえないからな。
ひかげの花 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
先刻さっきお登和さんから二十銭料理三十銭料理というものをおそわったから追々それも試験するつもりだが
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
そこでおそわったことを思い出して、即座に婦人へ出す様子は、まことに面白かった。