ばつ)” の例文
愚図ぐず愚図してるんだ! おれがこうして、さり気なく話のばつを合わして足停あしどめしておくあいだに、すっかりこの家の廻りにも手配てはい
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
おとよはしょうことなしにお千代のあとについて無意識に、まあ綺麗きれいなことまあ綺麗なことといいつつ、ばつを合せている。
春の潮 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
二人はそれっきり何も云わないで、ばつの悪い気持のまゝ歩いて行った。
工場細胞 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
手をひざに眼をじて聴く八十一のおきなをはじめ、皆我を忘れて、「戎衣よろいそでをぬらしうらん」と結びの一句ひくむせんで、四絃一ばつ蕭然しょうぜんとしてきょく終るまで、息もつかなかった。讃辞さんじ謝辞しゃじ口をいて出る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)