撞木杖しゅもくづえ)” の例文
もとは撞木杖しゅもくづえを突いて歩いていたんだが、この槍を貰ってから、撞木杖をよしてこれを突いて調子を取って歩くと、並みの人よりは早く歩けるくれえだ
大菩薩峠:07 東海道の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
すると、家の中から、それはそれは年をとったおばあさんが、撞木杖しゅもくづえにすがって、出てきました。おばあさんは、大きな日よけ帽子をかぶっていました。
清七の作ってくれた撞木杖しゅもくづえを腋の下にかって、土間の中をゆっくりと、一歩ずつ拾うようにあるくのである。
さぶ (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
運動場の四壁のうちに閉じこめられてるのだ! おののく心の粗野な誇らかな律動リズムも、高拍子の撞木杖しゅもくづえによりかかり跛を引きながら、お人よしのくだらぬ道を安心して進んでゆく
クール・デ・ミラクル(訳者注 昔乞食や浮浪人らの集まっていたパリーの一部)の撞木杖しゅもくづえにすがって、棍棒こんぼうに変わり得る撞木杖にすがって歩いている。自ら無宿者やどなしと称している。
いつでも用心深く身体に当てた撞木杖しゅもくづえをたよりに難儀しながら歩いていき、何かいおうとするときには、ほとんどいつでも立ちどまって、つれの者たちを自分の身のまわりに集めた父
変身 (新字新仮名) / フランツ・カフカ(著)
赤い三角型の頭巾ずきんを冠って、黒い長い外套を羽織った鼻の高い老婆がタッタ一人、撞木杖しゅもくづえを突いて立ちとどまっているが、如何にも手柄顔に火刑柱ひあぶりばしらの三人の苦悶を、貴人に指し示しつつ
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「おい杖を持て来い。」「どの杖をナ。」「どの杖ててまさかもう撞木杖しゅもくづえなんかはつきやしないヨ。どれでもいいステッキサ。暫く振りで薩摩下駄を穿くんだが、非常に穿き心地がいい。 ...
初夢 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
片腕が肘から切られてい、片足が膝から切られているので、左の脇の下に撞木杖しゅもくづえを挟み、満足の右の手に竹の杖を持った、盲目の乞食こじきが藪の横に、乱れた髪を顔にかけ、妖怪もののけのように立っていた。
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
天狗の撞木杖しゅもくづえといった形に見える、柱が一本。
唄立山心中一曲 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それは撞木杖しゅもくづえを左の脇の下にあてがって、頭には竹笠たけがさかぶって、身には盲目縞めくらじま筒袖つつそであわせ一枚ひっかけたきりで、風呂敷包を一つ首ねっこにゆわいつけて
大菩薩峠:07 東海道の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
丁の字形に、頭に横木のある撞木杖しゅもくづえで、きれいに磨きがかけてあった。だめだめ、そんな物を見せてくれちゃあ困るよ、と与平が手を振り、栄二は茶碗とはしを置いた。
さぶ (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
すると、その家のなかから、撞木杖しゅもくづえにすがった、たいそう年とったおばあさんが出てきました。おばあさんは、目のさめるようにきれいな花をかいた、大きな夏ぼうしをかぶっていました。
米友の敏捷びんしょうな性質は変ることはなく、かえって他の一本の足の精力が、他の一本へ集まって来たかと思われるほどで、撞木杖しゅもくづえを上手に使ってピョンピョン飛んで歩くと
大菩薩峠:07 東海道の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
おれにはこの撞木杖しゅもくづえを突く権利なんかないんだ。
さぶ (新字新仮名) / 山本周五郎(著)