推古すいこ)” の例文
宗教に栄え藝術に飾られた推古すいこの文明は、私たちの心からの贈物であった。それらのものは今もなお昔ながらの姿を残している。
民芸四十年 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
そのおあとには、継体けいたい安閑あんかん宣化せんか欽明きんめい敏達びたつ用明ようめい崇峻すしゅん推古すいこ諸天皇しょてんのうがつぎつぎにお位におのぼりになりました。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
それは推古すいこ天皇時代のものが幾らかのこっているのでありますが、この時代のものに右のような仮名の使いわけがあるかどうかは、それだけは明瞭に判りませぬ。
古代国語の音韻に就いて (新字新仮名) / 橋本進吉(著)
推古すいこ天皇ならびに上宮太子、あるいは天武てんむ天皇、聖武天皇、光明皇后の信仰を拝しても明らかなように、決して御一身のみの利益と平安をめざされたものでなく
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
因陀羅いんだらか、梁楷りょうかいか、大分近づいたが、さらにさらに進むべきだ。然らば白鳳はくほうか、天平てんぴょうか、推古すいこか、それそれ。すなわち推古だ。推古仏。法隆寺の壁画。それでよい。
河豚のこと (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)
推古すいこ女帝に講したまいし御経おんきょうときいたが、君とは、父法主ほっすでも、兄法主でもない人を指している。
九条武子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
書紀によると、日本では、推古すいこ天皇の三十五年春二月、陸奥みちのくで始めて、むじなが人に化けた。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
宗教に栄え藝術に飾られた推古すいこの文明は、私たちの心からの贈物であった。それらのものは今もなお昔ながらの姿を残している。
朝鮮の友に贈る書 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
大分だいぶ近づいたが、さらにさらに進むべきだ。しからば白鳳はくほう天平てんぴょう推古すいこか。それそれ、すなわち推古だ。推古仏。法隆寺の壁画。それでよい。ふぐの味を絵画彫刻でいうならば、まさにそのあたりだ。
河豚は毒魚か (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)
しかし五十の音を言い分けるということは、神代はどうだか知りませぬけれども、我々が普通溯ることが出来る時代——これはまあ実際においては大体推古すいこ天皇までぐらいであろうと思います。
古代国語の音韻に就いて (新字新仮名) / 橋本進吉(著)
だがルネサンス以後は自由の心が主張されました。仮りに東洋の彫刻に例をとるなら、同じ仏像でも推古すいこのものは伝統的です。ですが今日展覧会に出るものは個人的です。
民芸とは何か (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
絵画でも彫刻でもかかる意味で美術というよりは工藝であった。それは単独な存在ではなく建築の一部でさえあった。同じようにあの優秀な六朝りくちょう推古すいこの仏教藝術はむしろ工藝と呼ぶべきではないか。
工芸の道 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)