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打見遣
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うちみや
ふりがな文庫
“
打見遣
(
うちみや
)” の例文
と種彦は先ほどから
舷
(
ふなばた
)
に
肱
(
ひじ
)
をつき船のゆれるがままに全く居眠りでもしていたらしく、やや
坐住居
(
いずまい
)
を直して、今更のように
四辺
(
あたり
)
の
賑
(
にぎわ
)
いを
打見遣
(
うちみや
)
りながら、どうかすると
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
その都度
夜商人
(
よあきゅうど
)
は
愁
(
うれ
)
わしげなる眉を
仰向
(
あおむ
)
けに
打見遣
(
うちみや
)
る、大空は雲低く、あたかも漆で固めたよう。
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
満枝は色を
作
(
な
)
して直行を
打見遣
(
うちみや
)
りつつ、その
面
(
おもて
)
を
引廻
(
ひきめぐら
)
して、やがて
非
(
あら
)
ぬ
方
(
かた
)
を
目戍
(
まも
)
りたり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
帽子も
鉄鞭
(
てつべん
)
も、
懐
(
ふところ
)
にせしブックも、
薩摩下駄
(
さつまげた
)
の
隻
(
かたし
)
も投散されたる中に、
酔客
(
すいかく
)
は半ば身を
擡
(
もた
)
げて血を流せる右の
高頬
(
たかほ
)
を平手に
掩
(
おほ
)
ひつつ
寄来
(
よりく
)
る婦人を
打見遣
(
うちみや
)
りつ。彼はその前に
先
(
ま
)
づ
懦
(
わるび
)
れず会釈して
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
今は物思いに沈んで、
一秒
(
いっセコンド
)
の間に、婆が長物語りを三たび四たび、つむじ風のごとく
疾
(
と
)
く、
颯
(
さっ
)
と繰返して、うっかりしていた判事は、心着けられて、フト身に沁む
外
(
と
)
の
方
(
かた
)
を、欄干
越
(
ごし
)
に
打見遣
(
うちみや
)
った。
政談十二社
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
今の待つ身は待たざる人を待つ身なる、その
口惜
(
くちを
)
しさを
悶
(
もだ
)
えては、在るにも在られぬ椅子を離れて、歩み寄りたる窓の
外面
(
そとも
)
を何心無く
打見遣
(
うちみや
)
れば、いつしか雪の降出でて、薄白く庭に敷けるなり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
打
常用漢字
小3
部首:⼿
5画
見
常用漢字
小1
部首:⾒
7画
遣
常用漢字
中学
部首:⾡
13画
“打見”で始まる語句
打見