手細工てざいく)” の例文
天守てんしゆしたへもあなとほつて、おしろ抜道ぬけみちぢや不思議ふしぎぬまでの、……わし祖父殿おんぢいどん手細工てざいくふねで、殿様とのさまめかけいたとつけ。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
最後の日の朝、洗面所を見詰めて物思いにふけっていたというが、生前抱月氏は手細工てざいくの好きな人で、一、二枚の板ぎれをもてば何かしら大工仕事をはじめて得意でいた。
松井須磨子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
椿岳は着物ばかりでなく、そこらで売ってる仕入物しいれものが何でも嫌いで皆手細工てざいくであった。紙入かみいれや銭入も決して袋物屋の出来合できあいを使わないで、手近てぢかにあり合せた袋で間に合わしていた。
夫婦ぐらしなれば格別かくべつ、もしも三、五人の子供または老親あれば、歳入さいにゅうを以て衣食を給するにらず。故に家内かない力役りきえきたうる者は男女を問わず、或は手細工てざいく或は紡績ぼうせき等のかせぎを以てかろうじて生計せいけいすのみ。
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
手細工てざいくに造つた花とはうか。
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)