手段しゅだん)” の例文
それだけかれは不屈不撓ふくつふとう気魄きはくをもっているのだが、ときとして負けるのがいやさにずいぶん卑劣ひれつ手段しゅだんを用うることがある。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
どうしても、いかなる手段しゅだんをもって、石にみついても! 伊那丸をたすけなければ意義いぎがない! 武士道ぶしどうがない。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
然るに京王電鉄は、一方先棒さきぼうの村内有力者某々等をして頗る猛烈に運動せしむると共に、一方田夫野人何事をか仕出来しでかさんとたかくくって高圧的こうあつてき手段しゅだんに出た。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
こんなわからずやのおやじがいては、とてもじぶんの研究けんきゅうをこのままぶじにつづけることはできない、とわかったので、ぼくはすぐにつぎの手段しゅだんを考えだした。
その名がいかに広まるとも、勝利にあらずして敗北なりと思い、これに反し自分の同僚どうりょう友人がいさぎよからざる手段しゅだんろうして巨万の富を積み、高位に上るとも、また名声めいせいを海外にとどろかすとも
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
「なんの手段しゅだんをめぐらす時間もない。ただ、群集ぐんしゅうのなかにまぎれて、せつなに、矢来やらいのなかへりこみ、若君わかぎみをはじめふたりの盟友めいゆうすくいだすばかり」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
このうえは、いっこくもはやく、あの垢離堂から社家しゃけへおうつし申しあげ、また、付人つきびとの忍剣とやらの神縛しんばくもといて謝罪しゃざいするよりほかに手段しゅだんはなかろう
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)