手抗てむか)” の例文
「おのれ、まだ無用な手抗てむかいをしているかッ」と、十手をもって、骨ぶしの砕けるほど、源次の肩をなぐりつけた。——で、その途端。
鳴門秘帖:05 剣山の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「この内に、御不審のかかった人間が潜伏しおるとのらせである。手抗てむかう者は、用捨ようしゃなく六波羅へ曳くぞ。邪魔するな」
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
むろん、唖男をつかまえた時に、ひどい手抗てむかいをされてりている例があるから、二人のほかにも辻々には捕手がびっしりと影を沈めこんでいる。
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「もう一ト足先に、たむろへ曳かれて行ったのだ。それでもきさまは、じたばたするのか。なお、手抗てむかいいたす気か」
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「妹がとりのぼせて、尊軍へお手抗てむかいいたしたのも、じつは祝氏の一男と縁組みの約があったからでございまして」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
手抗てむかいの隙などは、与えもしない。高時の体を二、三度、ぐるぐる振り廻してから、膝の下に抑えつけた。
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
国内第一の大仏秘仏などことごと灰燼かいじんにしたばかりか、手抗てむかう僧兵一万余を斬り殺し焼き殺したという——
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
すでにその水泊の賊徒は、先には済州で官軍に手抗てむかい、江州無為軍むいぐんでも大騒擾だいそうじょうをおこし、以後いよいよ、賊寨ぞくさいを強大にしておるもの。いまにしてたいらげずば、国の大患たいかんとなりましょう。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「近ごろ、わしの恩寵おんちょうれすぎて、図に乗っていた又四郎のやつ。是が非でも引っ捕えて、窮命きゅうめい申しつけねばならん。——もし手抗てむかいなさば討ち取ってもかまわぬ。すぐからめて来い」
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「でも、油断をしやるなよ、あれでも刃物を見れば、相当に手抗てむかいはするぞ」
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「もし知っていたら、あの時の俺は弟だろうが何者だろうが、官兵とあったら見境いはなかったろう。弟もまた、俺が頑強に手抗てむかいしたら、兄だからとて、許してもおかれなかったに違いない」
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「なにとぞ一つ、若い娘のこととおぼしめし、ご寛大なおなさけの下に、彼女あれの身柄を、てまえにお返しいただけますまいか。どんなつぐないでもいたしまする。また向後は決してお手抗てむかいはさせません」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
手抗てむかう者はみなこうだぞ」
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
手抗てむかいするかッ」
鳴門秘帖:06 鳴門の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)