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手匣
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てばこ
ふりがな文庫
“
手匣
(
てばこ
)” の例文
お光はかう思ひながら納戸へ入つて、用箪笥の小抽斗の
手匣
(
てばこ
)
の中から、短かい鎖の付いた豆のやうな金時計を出して見た。
兵隊の宿
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
それにもこりずに、彼は
手匣
(
てばこ
)
とか行李とかを、もう一度一々性急に、しかも丹念にひっくり返して
検
(
しら
)
べてみるのであった。
あめんちあ
(新字新仮名)
/
富ノ沢麟太郎
(著)
忍藻の部屋へ入ッて見れば忍藻の身の香がするようだし、忍藻の
手匣
(
てばこ
)
へ眼をとめれば忍藻が側にいるようだ。
武蔵野
(新字新仮名)
/
山田美妙
(著)
お庄は箪笥の底から持ち出して、
従姉
(
あね
)
の家へその絵本の入った
手匣
(
てばこ
)
を持ち込む時も、そっと中から出して、
黴
(
かび
)
くさい絵を従姉に見せながら、その値踏みなどをしてもらった。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
その文庫というのは、
頃合
(
ころあい
)
の
手匣
(
てばこ
)
で、深さも相応にあり、
蓋
(
ふた
)
は
中高
(
なかだか
)
になっていて柔かい円みがついている。蓋の表面には、少し低めにして、おもいきり大きい
銀泥
(
ぎんでい
)
の月が出してある。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
▼ もっと見る
浪子は
手匣
(
てばこ
)
より母の写真取り
出
(
い
)
でて床にかけ、千鶴子が
持
(
も
)
て来し白菊のやや狂わんとするをその前に
手向
(
たむ
)
け、午後には茶など
点
(
い
)
れて、幾の昔語りに耳傾けしが、今は幾も看護婦も
罷
(
まか
)
りて
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
閉ざされて、
醺
(
かび
)
生
(
は
)
ゆる
手匣
(
てばこ
)
にこそはさも似たれ
山羊の歌
(新字旧仮名)
/
中原中也
(著)
この二つの人形は、京子が
手匣
(
てばこ
)
に入れて病院まで持つて行つてゐたのであるが、今夜金槌とともに持ち出したのであらう。
天満宮
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
廊下や部屋の樣子は、油屋で呑み込めてゐたから、ズン/\入つたり𢌞つたりして、鏡臺や
手匣
(
てばこ
)
の類を
撥
(
あば
)
き探した。
石川五右衛門の生立
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
其の短刀は
鎧通
(
よろひどほ
)
しといふ鋭いもので、彼女の父がこればかりは一生肌身を離すなと言つて、道臣に
嫁
(
か
)
する日に彼女の
手匣
(
てばこ
)
の中に入れてやつたもので、無銘ではあるが相州ものの古いところらしく
天満宮
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
手
常用漢字
小1
部首:⼿
4画
匣
漢検1級
部首:⼕
7画
“手”で始まる語句
手
手拭
手前
手巾
手繰
手許
手向
手綱
手際
手燭