手具脛てぐすね)” の例文
笠寺の方にも、先頃から同じような流言が行われ、同じような動揺があって、戦備おさおさ怠りなく、手具脛てぐすねひいていた頃だった。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
とはいうものの……白状するが吾輩は、そのアトから直ぐに有志連中が調停に来るものと思って、実は手具脛てぐすねを引いて待っていたもんだ。……来やがったらドウセ破れカブレの刷毛序はけついでだ。
爆弾太平記 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
たかの如く、ほかの部屋へ跳びこんだ。そこにも手具脛てぐすねひいて伏せていた者がある。躍り立つがはやいか、むずと官兵衛へ組みついてくる。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
東儀があわてて注意するまでもなく、忠実なふたりの同心は、手具脛てぐすねを引いて、彼の後を左右からけて行った。
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
で、孔明は、来るべき敵に対して、策を立て、配備をなし、なお充分、手具脛てぐすねひいているほどな暇を持っていた。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
もちろんこの間に、船筏ふないかだの用意そのほか、充分な用意はしてある。——当然、この渡河中には、手具脛てぐすねひいている敵の猛烈な強襲があるものと覚悟して。
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そこへ関羽、張飛の手勢一千は、前夜から手具脛てぐすねひいて来たのであるから、大量な殺戮さつりくも思いのまま行われた。
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、大覚寺ノ宮恒性を中心に、もう数十日も前から、今日のいたるのを、じつに手具脛てぐすねひいていたのである。
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼に備えがなかったら知らないこと、あらかじめかかることもあろうかと、手具脛てぐすねひいていた曹仁や夏侯惇かこうじゅんの正面へ寄せて行ったので敗れたのは当然だった。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「このたびこそは蛮土の敵性を抜き尽すぞ」とある孔明の言明に、各〻、手具脛てぐすねひいて、戦機を測っていた。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、手具脛てぐすねひいて待つ所へ、魏軍三万の張郃ちょうこう戴陵たいりょうはほとんど鎧袖がいしゅうしょくの勢いでこれへ当ってきた。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ここ瀬田の橋口も、光春の最期を見るべき所ときめて、おびただしい敵影が手具脛てぐすねひいて待ちうけていた。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「一兵なりと動かしたらばと、手具脛てぐすねひいて、待ちかまえているのです」範綱は心のうち
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ところがその途中には、蜀の廖化りょうかや張翼などが、手具脛てぐすねひいて待ち伏せていた。ためにその途中、彼の軍は手痛く不意を衝かれ、前後の旗本も散々に打ち滅ぼされてしまった。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
『あれ見なさい。そんな事を云うと、うしろの若い連中が、手具脛てぐすねひくように欣んでおる』
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ここをくだって須磨すまに出で、西の城戸きどを攻めるしか攻め口はないので、先に逃げた敵も一ノ谷の全軍も、ござんなれとばかり、手具脛てぐすねひいて、われらの寄せるを待ちうけているであろう
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
防禦陣の大将黄祖は、かねて手具脛てぐすねひいて待っていたところであるから
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
偃城えんじょうの兵はどよめき告げた。関平は手具脛てぐすねひいて、その近づくを待ち
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、手具脛てぐすねひいているものと思われた。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「そこの名主なぬしといやあ、九紋龍の家だろう。とんでもねえ話だ。あいつに当って行けるものか。しかも県城の役署からおれたちの首に三千貫の賞金が懸っていることも承知だろうし、手具脛てぐすねひいているものと覚悟もせざアなるめえが」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
張飛は、手具脛てぐすねひいて
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)