所業しょぎょう)” の例文
ことにそれが、ある超特恐怖の状態において終っていることは、すべて一致していた。いうまでもなく一特定人——リッパア・ゼ・ジャック——の所業しょぎょうである。
女肉を料理する男 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
「それにしても」と、勘平はまたたけりたった、「何という卑劣な所業しょぎょうでござりましょう。脱盟して吾々の顔をつぶすさえあるに、他人の金品まで盗んで逐電ちくでんするとは!」
四十八人目 (新字新仮名) / 森田草平(著)
姉妹きょうだいの仲でありながら、そんなあさましい恥ずかしい所業しょぎょうに、わたしをわたしを追いやるとは……」
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
成親殿なりちかどの夜陰やいんにまぎれて毎夜賀茂の森まで通いました。大杉のほらの下の壇の前にぴたりとすわっていました。顔はまっさおでしかも燃えるような目で僧らの所業しょぎょうを見ていました。
俊寛 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
おかしき所業しょぎょうあてが外れて其晩吹雪なおやまず、女の何としてあるかるべきや。
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
十分に手当をしてやるがよい——源蔵ッ! 狂人の所業しょぎょうとみなしてこのたびは差し許す、重ねてかようなことをいたさんよう自ら身分をとうとび……ではない、第一に法をたっとばんければいかん。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
役人の手をわずらわせば、このていは、ただの喧嘩沙汰としか扱われぬぞ。——場所もわるい——時もわるい——武士たる各〻が、社会の秩序をみだすような所業しょぎょうをなせば、武士総体の恥になる。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
おれはあの一瞬間、康頼やすよりにも負けぬ大嗔恚だいしんいを起した。少将は人畜生じんちくしょうじゃ。康頼もそれを見ているのは、仏弟子ぶつでし所業しょぎょうとも思われぬ。おまけにあの女を乗せる事は、おれのほかに誰も頼まなかった。
俊寛 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
その体の状態は、いちいち重要な犯行とともにあとで説明するが、検屍の医師が正視に耐えないくらいじつに酸鼻さんびをきわめたもので、とうてい普通の神経機能所有者の所業しょぎょうとは思考されない。
女肉を料理する男 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
その後再発したものの所業しょぎょうであろうというのだ。
女肉を料理する男 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)