まん)” の例文
藤助と岩根半藏が縛られてから五日、平次はこれ程の手柄にもまんずるどころか、神田の家に引籠つて、人に顏も見せなかつたのです。
その前までは博士は気が変ではないかと思ったほど、ごうまんな態度でわたしをしかりつけ、悪くいい、からみついてきた。
金属人間 (新字新仮名) / 海野十三(著)
時々とき/″\婦人ふじん雜誌ざつしの、お料理方れうりかたのぞくと、しかるべき研究けんきうもして、そのみちでは、一端いつぱしまんらしいのの投書とうしよがある。
湯どうふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
自からおもねらず、自から曲げず、おのれに誇ることなく、人をいやしむことなく、夙夜しゅくや業を勉めて、天の我にあたうるところのものをまんにすることなくんば、あにただ社中のよろこびのみならん。
中元祝酒の記 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
尊氏は自分にまんじ切れなかった。直義ただよしはたんに神明の御加護とそれをいっていた。
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
孫策は、涇県に着いたが、決して味方の優勢をまんじなかった。
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)