)” の例文
っとするね。十時間もたった屍体から、血が流れるなんて……。だが法水君、結局犯人の意志が、あれに示されているのではないだろうかね」
潜航艇「鷹の城」 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
足を近しくまいりますが音羽は誠にやで、何うも虫が好きません、そばへ来られてもっと致しまするから振ります。
と同時に、私は、っとして一目散に、その温室を飛出してしまったのだ。
脳波操縦士 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
滝人は、っとくすぐられるような幸福感に襲われたが、またあの病苦がしんしんと戻ってきて、一つ残された義務を果さねばならないのに気がついた。
白蟻 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
新吉は他人ひとが来ると火鉢の側に食客いそうろうの様な風をして居るが、人が帰って仕舞えば亭主振ていしぶって居りますが、甚藏と聞くとっとする程で、心のうちで驚きましたが
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
それが扇形おうぎがたに拡がったり、泡が打衝ぶつかって、白い皮膚のようにスウッと滑らかになると、縞に曲線に、乱れ入り組んで、っとするような交錯が起り、また砕け散って
地虫 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
見て居るうちに急に腫れ上りましてねえ、ヘエ、貴方死んだ師匠の通りの顔になりまして、膝に手を付きましてわたくしの顔をじいッと見詰めて居ました時は私はっと致しましたので
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
えもせず、じっと瞳をえて人間を見わたしている、狡智こうち、残忍というかっとなるような光。
人外魔境:08 遊魂境 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
俺は、そんな訳で業腹ごうはらあげくに、ようし、じゃ俺が一人で行って先占をしてやると、実にいま考えるとっとするような話だが、腹立ちまぎれにポンと飛び出したのだ。
人外魔境:05 水棲人 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
それは、っとするのと飛び退くのと、同時だった。しかしジェソップ氏は、からだをかがめ顔を地にすれすれにして、とおく残光が、黄麻畑の果にただようあたりにすかした。
一週一夜物語 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
むしろっとするような美しさで、ちりちり尾を捲く暗緋あんひの糸のようなものが、下へゆくほど太まり溶け拡がっていて、ちょうどそれは、触手を上向けた紅水母べにくらげのようであった。
地虫 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
よく、こんな計画でゆく気になったもんだと、再吟味の結果、っとなったほどだよ
人外魔境:10 地軸二万哩 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
折竹も、このごろではっとなっている。
人外魔境:08 遊魂境 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)