“愁歎(なげき)” の例文
カピ妻 はて、其方(そなた)は仁情深(なさけぶか)い父御(てゝご)をお有(も)ちゃってぢゃ。其方(そなた)に愁歎(なげき)を忘(わす)れさせうとて、俄(にはか)にめでたい日(ひ)をお定(さだ)めなされた、予(わし)も其方(そなた)も曾(つひ)ぞ思(おも)ひがけぬめでたい日(ひ)を。
領主 物悲(ものがな)しげなる靜(しづ)けさをば此(この)朝景色(あさげしき)が齎(もたら)する。日(ひ)も悲(かな)しみてか、面(おもて)を見(み)せぬわ。いざ、共(とも)に彼方(かなた)へ往(い)て、盡(つ)きぬ愁歎(なげき)を語(かた)り合(あ)はん。赦(ゆる)すべき者(もの)もあれば、罰(ばっ)すべき者(もの)もある。
卿(そなた)はやはり卿(そなた)で、あの愁歎(なげき)は卿(そなた)の愁歎(なげき)であったなら、それは皆(みな)ローザラインの爲(ため)であったに、なりゃ、其(その)心(こゝろ)が變(かは)ったか? すれば、此(この)一語(ご)を唱(とな)へしめ……女(をんな)は心(こゝろ)の移(うつ)る筈(はず)、男心(をとこごころ)さへも堅固(けんご)にあらず。