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愁歎
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なげき
カピ妻 はて、
其方は
仁情深い
父御をお
有ちゃってぢゃ。
其方に
愁歎を
忘れさせうとて、
俄にめでたい
日をお
定めなされた、
予も
其方も
曾ぞ
思ひがけぬめでたい
日を。
領主
物悲しげなる
靜けさをば
此朝景色が
齎する。
日も
悲しみてか、
面を
見せぬわ。いざ、
共に
彼方へ
往て、
盡きぬ
愁歎を
語り
合はん。
赦すべき
者もあれば、
罰すべき
者もある。
卿はやはり
卿で、あの
愁歎は
卿の
愁歎であったなら、それは
皆ローザラインの
爲であったに、なりゃ、
其心が
變ったか? すれば、
此一
語を
唱へしめ……
女は
心の
移る
筈、
男心さへも
堅固にあらず。