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惡念
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あくねん
憎み給ふゆゑ
何幸ひのあるべきや
偖又庄兵衞は
傘谷に
桂山道宅と云醫師ありて毎日雇れ居たり此醫者隨分小金を
持たる樣子を見
請奪ひ取んと
爰に
惡念を
晴さんとの
惡念芽しけるこそ恐ろしけれ斯て吾助は
好機あれかしと
隙を
窺ひけるに喜内は何事も愼み深く其上武術に達しければ
憖ひに手出を
成て仕損じては一大事と
空敷半年餘りを
喰ふの勢ひ
有とか寶澤は心中に
偖々此
婆めが
善貨物を持て居ることよ此二品を手に入て我こそ天下の
落胤と
名乘て出なば分地でも
御三
家位萬一極運に
適ふ時はと
漸と當年十一の
兒が
爰に
惡念を