徳利とつくり)” の例文
「二人ともよく泳ぐさうですよ、——もつとも女共は皆んな徳利とつくりだ、少しでも泳げさうなのは、橋場はしばで育つたお袖位のもので」
「そつから、はあ、鐵瓶てつびんなか徳利とつくりおしこめばえゝんだな、さうすりやどうだもかうだもねえんだな」
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
徳利とつくりけた遊女おいらん容子ようすだが、まどへ、べにいたら、おそらく露西亜ろしや辻占つぢうらであらう。
銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
とせき立てての、まだ徳利とつくりに未練のあるやつを、やつと横にならせたが、御方便なものぢや無えか、あれ程はしやいでゐた野郎が、枕へ頭をつけたとなると、酒臭え欠伸あくびを一つして
鼠小僧次郎吉 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
呑みましたよ。大川の水なんてものは、あまり結構なもんぢやありませんね、——徳利とつくりを持つて、お酒を
鐵瓶てつびんぢや徳利とつくりぽんづつしかへえんねえから面倒臭めんだうくさかんべとおもつてよ」とばあさんはいひながら、一たんたぎつた鐵瓶てつびんけた。たる空虚からになつて悉皆みんなもの銘酊よつぱらつてがや/\とたゞさわいだ。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
「心當りどころぢや御座いません、——泳ぎの御自慢な御主人がおぼれて、徳利とつくりの六郎さんがノコノコ生きて歸つて來た時から、私はもうこんな事になるだらうと思つて居りました」
毎日暮まいひぐれぢやねえけ徳利とつくりおつてゝんな」
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
「いけねえ、親分、自慢ぢやねえが、あつしは徳利とつくりだ」