微暗うすくら)” の例文
入口の障子しょうじをがたがたとけて、学生マントを着た小兵こがらな学生が、雨水の光る蛇目傘じゃのめがさ半畳はんだたみにして、微暗うすくら土間どまへ入って来た。
黄灯 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
女房がまた体を揺るので、主翁はしかたなしに起きて、蒲団ふとんの上にしゃがみ、ねむい眼をしょぼしょぼさした。微暗うすくらい電燈の光が寒そうに光っていた。
黄灯 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
微暗うすくら窟穴ほらあなのような廊下のさき一処ひとところ扉がいていて、内から射した明るいが扉を背で押すようにして立っている者を照らしているところがあった。
港の妖婦 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
小女こむすめは左へ曲って林の中へ入った。微暗うすくら木立こだちの間にはそこここに瓦斯燈ガスとうともって、ぽつぽつ人が通っていた。白粉おしろいをつけた怪しい女も通って往った。
水魔 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
その室の右にも左にも微暗うすくらいたがあって、そのさき梯子はしごの階段が見えていた。謙作は右の板の間のはしについた棕櫚しゅろの毛の泥拭どろぬぐいで靴の泥を念入りに拭ってからゆっくりと階段をあがって往った。
港の妖婦 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
書生は縁側へあがって微暗うすくらへや障子しょうじを開けた。
黄灯 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)