御落胤ごらくいん)” の例文
いわゆる御落胤ごらくいんとでもいったようなものなんですかな。ほれほれ御覧なさい。血統ちすじは争われないもので、三白眼でこっちを睨んでいます
顎十郎捕物帳:10 野伏大名 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
致す事なかれ無禮ぶれいは許すそばちかく參るべし我はかたじけなくも當將軍家吉宗公よしむねこう御落胤ごらくいんなり當山中に赤川大膳といふ器量きりやうすぐれの浪人の有るよしを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
恐れ多くも公方くぼう様の御落胤ごらくいんという天一坊が数人の主だった者と共に江戸表に参ろうという噂が早くも聞えたのでございました。
殺された天一坊 (新字新仮名) / 浜尾四郎(著)
ただ、義経よしつね鉄木真てむじんとを同一人にしたり、秀吉を御落胤ごらくいんにしたりする、無邪気な田舎翁でんしゃおうの一人だったのである。
西郷隆盛 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
下唇を噛みながら首をひねった、「——おれにゃあまるでちんぷんかんだ、その話が本当だとすると、まるでおれが大名の御落胤ごらくいんかなんぞのように聞えるぜ」
さぶ (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
御落胤ごらくいんと称して、確かな証拠品も所持致すよし、今、御上おかみへ、御覚おおぼえが御座りますか、と聞くと——」
大岡越前の独立 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
もっともそこは女だけに、将軍家の御落胤ごらくいんというほどの大きな触れ込みをしないで、男の天一坊ほどの評判にはなりませんでしたが、小さい女天一坊は幾らもありましたよ。
半七捕物帳:26 女行者 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
とらしか返答へんたふ致すべしとさも横柄わうへいのべけるに兩人再び驚きしが大膳は聲をはげまし汝天下の御落胤ごらくいんなどとあられもなきいつはりを述べ我々をあざむき此場を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ともなひ奉つれり依て御生長ごせいちやうの土地は美濃國にて候此度このたび受戒じゆかい得道とくだうなし奉つり常樂院の後住ごぢうにもなほし申べくと存じ候得どもまさしく當將軍の御落胤ごらくいんたるを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)