御菜おさい)” の例文
それで蒲団ふとんの損料が一枚三銭——寒いときは是非二枚るから、都合で六銭と、それに飯代が一日十四銭五厘、御菜おさいは別ですよ。——どうです。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
あきらにいさん、御飯ごはんでせう。御飯ごはんなら持つてよう。阿母さんが留守だから御菜おさいは何も無いことよ。』
蓬生 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
うぞ世間せけんひとけぬやうに、一ッぱしのゑらかたつてくだされ、後生ごせう御座ござんす、わたし其爲そのためになら内職ないしよくなりともして御菜おさいもののお手傳てつだひはしましよ、うぞ勉強べんきやうしてくだされ
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「御飯だけあればいい、なに御菜おさいはいらないよ。——頼んで置いた婆さんは明日あしたくるそうだ。——もう少し慣れると、東京だって京都だって同じ事だ」
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
三階に来た時、細い廊下の曲り角で一人の女がなべ御菜おさいを煮ているのに出逢であった。そこには台所があった。化物屋敷では五六軒寄って一つの台所を持っているのだそうだ。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)