御禊みそぎ)” の例文
源氏に御禊みそぎの日の車の場所争いを詳しく告げた人があったので、源氏は御息所みやすどころに同情して葵夫人の態度を飽き足らず思った。
源氏物語:09 葵 (新字新仮名) / 紫式部(著)
修験者のいる所は本社の右手の高い森の中で、そこまではまだ八町ほどある、そこへ行くまでに大師堂を左にと下れば御禊みそぎの滝があるのであります。
大菩薩峠:05 龍神の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
かれ建内の宿禰の命、その太子ひつぎのみこまつりて、御禊みそぎせむとして、淡海また若狹の國を經歴めぐりたまふ時に、高志こしみちのくち角鹿つぬがに、假宮を造りてませまつりき。
答『いけは一しゅ行場ぎょうばじゃ。人間界にんげんかい御禊みそぎおなじく、みずきよめられる意味いみにもなってるのでナ……。』
御禊みそぎの式もまだまったく終わっていなかったが人々は立ち騒いだ。肱笠雨ひじがさあめというものらしくにわか雨が降ってきてこの上もなくあわただしい。
源氏物語:12 須磨 (新字新仮名) / 紫式部(著)
「昨夜、人知れず、御禊みそぎの滝で水を浴びた女をつれて来い……その女が竜神村のわざわいじゃ、その女をつれて来い」
大菩薩峠:05 龍神の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「今日です、お試みなさいませ。不幸な目にあっている者が御禊みそぎをすれば必ず効果があるといわれる日でございます」
源氏物語:12 須磨 (新字新仮名) / 紫式部(著)
ってあなた様があれへお越しになりたいと思召おぼしめすなら、これから少し参りますると、御禊みそぎの滝というのがございます、その滝壺で水垢離みずごりをおとりになって
大菩薩峠:05 龍神の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「この御禊みそぎを神は(恋せじとみたらし川にせし御禊みそぎ神は受けずもなりにけるかな)お受けになりませんそうですね」
源氏物語:20 朝顔 (新字新仮名) / 紫式部(著)
明日は賀茂かもの斎院の御禊みそぎのある日で、御姉妹きょうだいの斎院のために儀装車に乗せてお出しになる十二人の女房があって、その選にあたった若い女房とか、童女とかが、縫い物をしたり
源氏物語:35 若菜(下) (新字新仮名) / 紫式部(著)
十六日に桂川で斎宮の御禊みそぎの式があった。常例以上はなやかにそれらの式も行なわれたのである。長奉送使ちょうぶそうし、その他官庁から参列させる高官も勢名のある人たちばかりを選んであった。
源氏物語:10 榊 (新字新仮名) / 紫式部(著)
それでにわかに供廻ともまわりを作らせて、葵夫人は御禊みそぎの行列の物見車の人となったのである。やしきを出たのはずっと朝もおそくなってからだった。この一行はそれほどたいそうにも見せないふうで出た。
源氏物語:09 葵 (新字新仮名) / 紫式部(著)
その中に昔の斎院の御禊みそぎの日に大将の仮の随身になって従って出た蔵人くろうどを兼ねた右近衛将曹うこんえしょうそうは、当然今年は上がるはずの位階も進められず、蔵人所の出仕は止められ、官を奪われてしまったので
源氏物語:12 須磨 (新字新仮名) / 紫式部(著)
御禊みそぎの日の屈辱感から燃え立った恨みは自分でももう抑制のできない火になってしまったと思っている御息所は、ちょっとでも眠ると見る夢は、姫君らしい人が美しい姿ですわっている所へ行って
源氏物語:09 葵 (新字新仮名) / 紫式部(著)
庭のかつらの木の若葉がたてるにおいにも若い女房たちは、宮の御在職中の加茂の院の祭りのころのことを恋しがった。源氏から、神の御禊みそぎの日もただ今はお静かでしょうという挨拶あいさつを持った使いが来た。
源氏物語:21 乙女 (新字新仮名) / 紫式部(著)
かけきやは川瀬の波もたちかへり君が御禊みそぎふぢのやつれを
源氏物語:21 乙女 (新字新仮名) / 紫式部(著)