御座ござい)” の例文
『だつて今日始めてでも御座ございませんもの——勝野さんが何処どこかで聞いていらしツて、いつぞや其を私に話しましたんですもの。』
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
いいえわたくしは『中の部屋』のお戸棚とだな衣類きものを入れさして頂ければお結構で御座ございます」
竹の木戸 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
「ハイ、見にやりませう。生憎只今は何物なんに御座ございません時でして——野菜も御座ませんし、河魚も捕れませんし。」
伊豆の旅 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
『イヤまつたく貴君あなたの物で御座ございます、けれども何卒どうまげわたくしたまはりたう御座ございます』
石清虚 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
『あれ——でも明後日は二十八日ぢやありませんか。別に可笑いといふことは御座ございませんがね、私はまた月が変つてからいらつしやるかと思ひましてサ。』
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
ぼく一度いちど是非ぜひくにまゐつて大島伸一先生おほしましんいちせんせいにもおにかゝりたう御座ございます。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
『丁度、行違ひに御成おなんなすつたんでせう。』とお志保は少許すこし顔をあかくして、『まあ御上りなすつて下さいませんか、此様こんな見苦しい処で御座ございますけれど。』
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
信じなければ死んだ後で復た御互にうことが出来ませんからッて——死んで極楽へ行く積りも御座いませんけれど、逢えませんでは心細う御座ございますねえ……
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
私はつんつるてんの綿入に紺足袋穿こんたびばきという体裁しこうで、奥様に見られるのが何より気恥しゅう御座ございました。
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)