御寺おてら)” の例文
阿母さんは大原おほはら律師様りつしさまにお頼みしてにいさん達と同じやう何処どこかの御寺おてらへ遣つて、あたまを剃らせて結構な御経おきやうを習はせ度いと思ふの。
蓬生 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
第一の童子 此御寺おてらの名を知るものは京中にはおぢやらぬわ。たつて知りたくば中の伴天連ばてれんに聞いて来やれ。ははははは。
南蛮寺門前 (新字旧仮名) / 木下杢太郎(著)
与次郎も三四郎も成程と云つた儘、御寺おてらの前を通りして、五六町ると、大きな黒い門がある。与次郎が、此所こゝを抜けて道灌山へ出様と云ひ出した。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
御寺おてらへもォててそォだてた
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
御寺おてらの庭の塀のうち
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
句切くぎりが悪くつて、字遣じづかひが異様で、言葉のはこかたおも苦しくつて、丸で古い御寺おてらを見る様な心持がした丈である。此一節丈読むにも道程みちのりにすると、三四町もかゝつた。しかも判然はつきりとはしない。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
其れから御坊ごばうは昔願泉寺と云ふ真言宗しんごんしう御寺おてらの廃地であつたのを、此の岡崎は祖師親鸞上人しんらんしやうにんが越後へ流罪るざいきまつた時、少時しばらく此地こヽ草庵さうあんを構へ、此の岡崎から発足はつそくせられた旧蹟だと云ふ縁故ゆかりから
蓬生 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)