店立たなだて)” の例文
嫌ひ一向に構ひ付ず睾丸きんたまも釣方とやら私し共でも得心せぬ故長屋の泥工さくわん棟梁とうりやうは年頃といひ人も尊敬そんきやうする者なれば此者を以て勘太郎は店立たなだて
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
その主人あるじまた大の貧窮で店立たなだてを命ぜられて、一日あるひ九尺二間の城を明渡すのむを得ざることに立至った。
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
猫はいかように御処分なすっても好いから、どうか店立たなだてをゆるして貰いたいと涙をこぼして家主に嘆いた。そうなると、家主にも不憫が出て、たってこの親子を追い払うわけにも行かなかった。
半七捕物帳:12 猫騒動 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
少し談話はなしが古いが、日独の国交が断絶して、独逸の日本留学生が一まとめに店立たなだてを食はされた時の事、皆は和蘭オランダ経由で英吉利イギリスに落ち延びようとして、日をめて一緒に伯林ベルリンのレアタア停車場ていしやぢやうつた。
直接に猫婆に談判しても容易に埓があくまいと思ったので、月番つきばんの者が家主いえぬしのところへ行って其の事情を訴えて、おまきが素直に猫を追いはらえばよし、さもなければ店立たなだてを食わしてくれと頼んだ。
半七捕物帳:12 猫騒動 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
以て勘太郎店立たなだて申入候へば勘兵衞もつての外にいかり却て私し共に店立申付候程の事にて何故か勘太郎を贔屓ひいき仕つり候と申せしかばこゝに於て大岡殿大聲に其方家主をもつとめながら右體みぎていの者は訴へ出べきにいつはりを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)