ばん)” の例文
われらみずからの精神の働きに関係しないものはいっさい実在ではない。六祖慧能えのうかつて二僧が風に翻る塔上のばんを見て対論するのを見た。
茶の本:04 茶の本 (新字新仮名) / 岡倉天心岡倉覚三(著)
わたくしが初めてこの画を見た時にはばんを持った童子の画と共にガラス戸の中に掛けてあった。
古寺巡礼 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
朱雀玄武旗すじゃくげんぶき、青龍白虎旗、白はた、青はた、黒旌、黄旌、緋纓ひぶさの大ばんなど、へんぽんと梁山りょうざんのいただきから中腹までを埋め、北斗七星旗から八、一百二十四流れの鎮天旗まで
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
柱にかけるばんなども特別にお選びになった支那錦しなにしきで作られてあった。紫夫人の手もとで調製された花机かきおおいは鹿染めを用いたものであるが、色も図柄も雅味に富んでいた。
源氏物語:38 鈴虫 (新字新仮名) / 紫式部(著)
堂上堂下は花をもってうずめられ、五色のばんがひらめき、放鳥と空中より降らす花のあいだに諸々の音楽と舞踊が行われ、読経どきょうの声は潮のごとく奈良の山々にひびいたといわれる。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
無数の神像が並んでおり、祭具やばんが置いてあった。どうやら宝物の蔵らしい。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「一はいわく幡動くと。一はいわく風動くと。」しかし、慧能は彼らに説明して言った、これ風の動くにあらずまたばんの動くにもあらずただ彼らみずからの心中のある物の動くなりと。
茶の本:04 茶の本 (新字新仮名) / 岡倉天心岡倉覚三(著)
さっと、大将ばんの下を離れ、電馳でんちして駒を向けた。
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
飛龍のばん
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)