ぱん)” の例文
そして翌朝にはもう甲ノ尾から差廻しの一船に乗りこみ、解任の簿名ぼめいと頭かずの点検をうけた後、本土へ向ってその一ぱんかえり去った。
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
今は秋陰あんとして、空に異形いぎょうの雲満ち、海はわが坐す岩の下まで満々とたたえて、そのすごきまでくろおもてを点破する一ぱんの影だに見えず。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
そよ吹く南風をはらんで、諧音かいおんの海を、ひそやかにひがしして行ったこの一ぱんこそ、やがて山陽の形勢を一変し、ひいては後の全日本に大きな潮のあとをのこし
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ぱんの風にまかせて、呉国へ下り、三寸不爛ふらんの舌をふるって、孫権と曹操を戦わせ、しかも江夏の味方は、そのいずれにもらず、一方のやぶれるのを見てから
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
先生を一ぱんに乗せて呉の国へともない、切に、わが主孫権を説き、周瑜しゅうゆをうごかして、当時まだ保守的であった呉をして遂に全面的な出兵を見るに至らしめたのはいったい誰でしたろうか
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ぱんくだ
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)