山際やまぎは)” の例文
やや時経れば、ほのぼのとして薄明る山際やまぎはの色、黎明しののめの薄樺いろに焼け明るその静けさに、日出づる前か、明鴉かをかをと二羽連れだちて羽風切る、その羽裏いよよ染みたり。
汽車きしや千葉ちばまはりに譽田ほんだ……をぎ、大網おほあみ本納ほんなふちかづいたときは、まへ苗代田なはしろだを、二羽には銀翼ぎんよくつて、田毎たごと三日月みかづきのやうにぶと、山際やまぎはには、つら/\と立並たちならんで、しろのやうに
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
こゝ宇治拾遺物語うぢしふゐものがたりへるは、大納言隆国卿だいなごんたかくにきやう皐月さつきより葉月はづきまで平等院びやうどうゐん一切経いつさいきやう山際やまぎは南泉坊なんせんばうこもりたまひ、あふさきるさの者のはなし、高きいやしきをはず、話にしたがおほきなる草紙さうしに書かれけり
落語の濫觴 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
初瀬の山の山際やまぎは
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
やや時経れば、ほのぼのとして薄明うすあか山際やまぎはのいろ、黎明しののめの薄樺いろに焼けあかるその静けさに、日出づる前か、明鴉かをかをと二羽連れだちて羽風切る、その羽裏いよよ染みたり。
観相の秋 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)