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尚侍
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ないしのかみ
ふりがな文庫
“
尚侍
(
ないしのかみ
)” の例文
院参をさせることすら未来の光明のない点で
尚侍
(
ないしのかみ
)
は寂しく思っていたところへ、少将のこの手紙が来て女房たちはあわれがっていた。
源氏物語:46 竹河
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
上﨟女房——
御匣殿
(
みくしげどの
)
・
尚侍
(
ないしのかみ
)
・二位三位の
典侍
(
すけ
)
・禁色をゆるされた大臣の女・孫——の眉と、下位の何某の婦の眉と同じということはない。
眉の記
(新字新仮名)
/
上村松園
(著)
やがて皇太子も御元服となられたのを
機
(
しお
)
に、姫を入内させた。
立后
(
りっこう
)
はべつであるが、
尚侍
(
ないしのかみ
)
に
叙
(
じょ
)
せられ、お添い臥しはかなうのである。麗景
殿
(
でん
)
におかれたので「麗景殿ノ
女御
(
にょうご
)
」ともよばれた。
美しい日本の歴史
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「残念だが、しかしそうした因縁だった人も、一度自分の決めたことだから後宮にはいることとは違った
尚侍
(
ないしのかみ
)
の職は
辞
(
や
)
める必要がない」
源氏物語:31 真木柱
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
尚侍
(
ないしのかみ
)
になって御所へお勤めするようにと、源氏はもとより実父の内大臣のほうからも勧めてくることで
玉鬘
(
たまかずら
)
は
煩悶
(
はんもん
)
をしていた。
源氏物語:30 藤袴
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
▼ もっと見る
接近することの少なかった親ではあるが、
亡
(
な
)
くなったと思うと心細くてならぬ
尚侍
(
ないしのかみ
)
が、和琴に追慕の心を誘われて身にしむ思いをしていた。
源氏物語:46 竹河
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
その時分に
尚侍
(
ないしのかみ
)
が御所から自邸へ退出した。前から
瘧病
(
わらわやみ
)
にかかっていたので、
禁厭
(
まじない
)
などの宮中でできない療法も実家で試みようとしてであった。
源氏物語:10 榊
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
尚侍
(
ないしのかみ
)
は源氏の追放された直接の原因になった女性であるから、世間からは
嘲笑
(
ちょうしょう
)
的に注視され、恋人には遠く離れて、深い
歎
(
なげ
)
きの中に
溺
(
おぼ
)
れているのを
源氏物語:12 須磨
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
玉鬘
(
たまかずら
)
の
尚侍
(
ないしのかみ
)
の生んだ故人の関白の子は男三人と女二人であったが、どの子の未来も幸福にさせたい、どんなふうに、こんなふうにと空想を大臣は描いて
源氏物語:46 竹河
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
院の
尚侍
(
ないしのかみ
)
は現代の最もすぐれた書き手だが、奔放すぎて癖が出てくる。しかし、ともかくも院の尚侍と前斎院と、あなたをこの草紙の書き手に擬していますよ
源氏物語:32 梅が枝
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
尚侍
(
ないしのかみ
)
などにお出しになることによって、これまでの親密な御交情がそこなわれはしないかと私は思いますが
源氏物語:30 藤袴
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
尚侍
(
ないしのかみ
)
の職が欠員であることは、そのほうの女官が御用をするのにたよる所がなくて、自然仕事が投げやりになりやすい、それで今お勤めしている故参の
典侍
(
ないしのすけ
)
二人
源氏物語:29 行幸
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
「
尚侍
(
ないしのかみ
)
は貴婦人の資格を十分に備えておいでになる、
軽佻
(
けいちょう
)
な気などは少しもお見えにならないような方だのに、あんなことのあったのが、私は不思議でならない」
源氏物語:20 朝顔
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
何年かを中に置いてお目にかかる
玉鬘
(
たまかずら
)
の
尚侍
(
ないしのかみ
)
は恥ずかしく思いながらも以前どおりに親しいお話をした。
源氏物語:34 若菜(上)
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
尚侍
(
ないしのかみ
)
も絵の趣味を多く持っている人であったから、
姪
(
めい
)
の女御のためにいろいろと名画を集めていた。
源氏物語:17 絵合
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
帝は近く
御遜位
(
ごそんい
)
の
思召
(
おぼしめ
)
しがあるのであるが、
尚侍
(
ないしのかみ
)
がたよりないふうに見えるのを
憐
(
あわ
)
れに思召した。
源氏物語:14 澪標
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
尚侍
(
ないしのかみ
)
として宮中へ出ることをこれまでは反対をし続けたのであるが、陛下がこの態度を無礼であると思召すふうもあるし、両大臣もいったん思い立ったことであるから
源氏物語:31 真木柱
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
冷たい賢がった女にだけなって逢っていて済むだろうかと
朧月夜
(
おぼろづきよ
)
の
尚侍
(
ないしのかみ
)
の心は弱く傾いていった。
源氏物語:34 若菜(上)
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
当代における自身の不遇などは何とも思わずに、源氏は恋を
歎
(
なげ
)
いていた、斎院と
尚侍
(
ないしのかみ
)
のために。
源氏物語:10 榊
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
尚侍
(
ないしのかみ
)
はお
崩
(
かく
)
れになった皇太后がお住みになった二条の宮へはいって住むことになった。姫宮を心がかりに思召されたのに次いでは尚侍のことを院の帝は顧みがちにされた。
源氏物語:34 若菜(上)
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
朧月夜
(
おぼろづきよ
)
の
尚侍
(
ないしのかみ
)
も静かな院の中にいて、過去を思う時々に、源氏とした恋愛の昔が今も身にしむことに思われた。近ごろでも源氏は好便に託して文通をしているのであった。
源氏物語:21 乙女
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
右大臣家の六の君は二月に
尚侍
(
ないしのかみ
)
になった。院の崩御によって
前
(
さきの
)
尚侍が尼になったからである。
源氏物語:10 榊
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
左大将夫人の
玉鬘
(
たまかずら
)
の
尚侍
(
ないしのかみ
)
は真実の兄弟に対するよりも右大将に多く兄弟の愛を持っていた。
源氏物語:35 若菜(下)
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
次男を中にして好意を寄せる
尚侍
(
ないしのかみ
)
に前夫人は友情をすら覚えているのであるが、式部卿の宮家には大夫人という性質の曲がった人が一人いて、この人は常にだれのことも憎んで
源氏物語:35 若菜(下)
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
尚侍
(
ないしのかみ
)
の所へは、例のように中納言の君への私信のようにして、その中へ入れたのには
源氏物語:12 須磨
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
尚侍
(
ないしのかみ
)
は大将の来ないことで何の
痛痒
(
つうよう
)
も感じていないのに、一方は一所懸命な言いわけがしてあるこの手紙も、
玉鬘
(
たまかずら
)
は無関心なふうに見てしまっただけであるから、返事は来なかった。
源氏物語:31 真木柱
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
その人は
尚侍
(
ないしのかみ
)
になるのです。私が女御さんの所へ来ているのは、そんなふうに引き立てていただけるかと思ってですよ。普通の女房だってしやしない用事までもして、私は働いています。
源氏物語:29 行幸
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
源氏が
尚侍
(
ないしのかみ
)
をばどうしようとするかには抗議の持ち出しようもなく、またそうすることには深い理由もあることであろうと思っていたから、すべて源氏に一任していると返辞をさせていた。
源氏物語:30 藤袴
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
源氏はまた途中の人目を気づかいながら
尚侍
(
ないしのかみ
)
の所へも別れの手紙を送った。
源氏物語:12 須磨
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
「陛下から宮仕えにお召しになったのを、一度御辞退申し上げたあとで、また仰せがありますから、ともかくも
尚侍
(
ないしのかみ
)
を勤めさせることにしまして、その上でまた結婚のことを考えたいと思います」
源氏物語:29 行幸
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
源氏は今も
尚侍
(
ないしのかみ
)
を恋しく思っていた。
源氏物語:14 澪標
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
“尚侍”の解説
尚侍(ないしのかみ/しょうじ)とは、日本の律令制における官職で、内侍司の長官(かみ)を務めた女官の官名。
(出典:Wikipedia)
尚
常用漢字
中学
部首:⼩
8画
侍
常用漢字
中学
部首:⼈
8画
“尚”で始まる語句
尚
尚更
尚武
尚々
尚書
尚白
尚兵館
尚質
尚真
尚早