容顏きりやう)” の例文
新字:容顔
このはなは婬婦いんぷなりしが娘おくま容顏きりやう衆人しうじんすぐれて美麗うつくしく見るものこゝろうごかさぬものなく二八の春秋はるあきすぎて年頃に及びければ引手ひくて數多あまたの身なれども我下紐わがしたひもゆるさじと清少納言せいせうなごんをしへも今は伊達だてなる母を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
容顏きりやうよき女太夫の笠にかくれぬ床しの頬を見せながら、喉自慢、腕自慢、あれ彼の聲を此町には聞かせぬが憎くしと筆やの女房舌うちして言へば、店先に腰をかけて往來を眺めし湯がへりの美登利
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
はなし御家中内に相應さうおうの口も有らば御世話下されよ娘の年は十八にして容顏きりやう沈魚ちんぎよ落鴈らくがん羞月しうげつ閉花へいくわともいひつべき美人なりと申ければ幸之進も獨身どくしん者故大きにこのもしく思ひ我等最早もはや四十歳に近けれどもさきにて構ひなくば母子ともに引取妻に致さんと云ふを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)