家司けいし)” の例文
家族も家司けいしたちもそれを軽率だと言っていること、世間でも誤ったしかただと言っていることも皆大臣の耳にははいっていたが
源氏物語:26 常夏 (新字新仮名) / 紫式部(著)
いちど書院へ入って、書簡をしたため、家司けいしの重臣二人をよんで、こまごま、使いの口上をさずけてから、またもとの水亭へもどって来た。
家司けいしや老女などが指図をしつゝ、あゝでもない、こうでもないと、一つ調度を何回となく彼方あちらへ持って行かしたり、此方こちらへ持って来させたりしている。
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
非常におびえていた花散里をいろいろと慰めてから、家司けいしを呼んでそこねた所々の修繕を命じて、それから南の町へ行った。
源氏物語:28 野分 (新字新仮名) / 紫式部(著)
敦忠の家の家司けいしをしている男だったので、御息所が、「まあ、そんなことがあるものですか」と云われると、「いゝえ、きっとそうなります、私は空から見ておりますよ」
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
狼藉人ろうぜきにんとでもまちがえたものか、さらに奥から、家司けいし、侍、雑色ぞうしきたちまで、あふれ出て来て、物々しく放免を取りかこみ、さて、顔見合せたり、訊き直したり、さんざんに議したあげく
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
源氏に誠意を持って仕えて、現在の権勢にびることを思わない人たちを選んで、家司けいしとして留守るす中の事務を扱う者をまず上から下まで定めた。
源氏物語:12 須磨 (新字新仮名) / 紫式部(著)
家司けいしなどにも気のきいた者などはなくて、修繕を少しずつ加えるような方法もとらないから、雑草が高く伸び、軒の忍草しのぶが得意に青をひろげていた。
源氏物語:47 橋姫 (新字新仮名) / 紫式部(著)
欠点もあるが住みついたならきっとよくなるであろうと明石の人々は思った。源氏は親しい家司けいしに命じて到着の日の一行の饗応きょうおうをさせたのであった。
源氏物語:18 松風 (新字新仮名) / 紫式部(著)
源氏もこの宮のお心持ちを知っていて、ごもっともであると感じていた。一方では家司けいしとして源氏に属している官吏も除目じもくの結果を見れば不幸であった。
源氏物語:10 榊 (新字新仮名) / 紫式部(著)
こう言っていた源氏は、親しい家司けいし四、五人だけを伴って、夜明けに京を立って出かけたのである。郊外のやや遠い山である。これは三月の三十日だった。
源氏物語:05 若紫 (新字新仮名) / 紫式部(著)
何ということなしにこうした幼稚さが御簾みすの外まで来る家司けいしや侍たちにも知れてきて、怪しんではいたが、だれもまだ名ばかりの夫人であるとは知らなんだ。
源氏物語:07 紅葉賀 (新字新仮名) / 紫式部(著)
西の対から渡殿わたどのへかけてをその居所に取って、事務の扱い所、家司けいしの詰め所なども備わった、源氏の夫人の一人としての体面を損じないような住居すまいにしてあった。
源氏物語:18 松風 (新字新仮名) / 紫式部(著)
大内記は右大将の家に古くから使っている家司けいしの婿であったから秘密な話も耳にはいるのであろう。
源氏物語:53 浮舟 (新字新仮名) / 紫式部(著)
親しい家司けいしたちだけが暢気のんきに事務を取っているのを見ても、主人である源氏は、自家の勢力の消長と人々の信頼が比例するものであることが思われておもしろくなかった。
源氏物語:10 榊 (新字新仮名) / 紫式部(著)
こうして思いがけず勢力のある宮の御良人ごりょうじんがおできになったことを聞いて、もとは勤めていなかった家司けいしなどが突然現われて来て事務所に詰め、仕事に取りかかっていた。
源氏物語:40 夕霧二 (新字新仮名) / 紫式部(著)
平凡でないことに興味を持つ性質を知っている家司けいしたちは源氏の心持ちをそう観察していた。
源氏物語:05 若紫 (新字新仮名) / 紫式部(著)
そこからすぐに北へ通って明石あかしの君の町へ源氏は出たが、ここでははかばかしい家司けいし風の者は来ていないで、下仕えの女中などが乱れた草の庭へ出て花の始末などをしていた。
源氏物語:28 野分 (新字新仮名) / 紫式部(著)
その中でも常陸の宮へ贈るのは、源氏自身が何かと指図さしずをして、宮邸に足らぬ物を何かと多く加えさせた。親しい家司けいしに命じて下男などを宮家へやって邸内の手入れをさせた。
源氏物語:15 蓬生 (新字新仮名) / 紫式部(著)
ちょうど源氏が車に乗ろうとするころに、左大臣家から、どこへ行くともなく源氏が京を出かけて行ったので、その迎えとして家司けいしの人々や、子息たちなどがおおぜい出て来た。
源氏物語:05 若紫 (新字新仮名) / 紫式部(著)
高くなったという雑草のほかに後見うしろみをする者のない身の上なのであると源氏は思いやって、長雨に土塀どべいがところどころくずれたことも書いてあったために、京の家司けいしへ命じてやって
源氏物語:12 須磨 (新字新仮名) / 紫式部(著)
ただ右近が志として供物にしたのを、事情を知らぬ人たちはどうしてそんなことをしたかと不思議がった。薫のほうからは家司けいしの中でも親しく思われる人たちを幾人もよこしてあった。
源氏物語:54 蜻蛉 (新字新仮名) / 紫式部(著)
世間へは何とも発表せずに、きわめて親密に思っている家司けいし七、八人だけを供にして、簡単な人数で出かけることにしていた。恋人たちの所へは手紙だけを送って、ひそかに別れを告げた。
源氏物語:12 須磨 (新字新仮名) / 紫式部(著)
手本を書いて習わせなどもして、今までよそにいた娘を呼び寄せた善良な父のようになっていた。事務の扱い所を作り、家司けいしも別に命じて貴族生活をするのに何の不足も感じさせなかった。
源氏物語:07 紅葉賀 (新字新仮名) / 紫式部(著)
家司けいしたちは大がかりな仕度したくを御出産祝いにした。
源氏物語:36 柏木 (新字新仮名) / 紫式部(著)
家司けいしたちが出て来て
源氏物語:28 野分 (新字新仮名) / 紫式部(著)