宝玉ほうぎょく)” の例文
旧字:寶玉
要吉たちは、それをまた、ひとつひとつ、まるで、宝玉ほうぎょくででもあるかのように、ていねいに、そっともぎとるのでした。
水菓子屋の要吉 (新字新仮名) / 木内高音(著)
古代金貨に宝玉ほうぎょくの類……ヘクザ館の塔なる聖壇のうえには、みるみるうちに七色の宝の山がきずかれていったのである。
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
支那しな宝玉ほうぎょくや、印度インド更紗さらさや、交趾コーチものや、その南海なんかいそこかられたさんごなどでかざられていました。
北海の白鳥 (新字新仮名) / 小川未明(著)
彼のうちにはかつて何人にも認めることが出来ない生命の光があった。彼の宝玉ほうぎょくの如きオルガン傑作曲は、ウィルヘルム公の一風変った礼拝堂らいはいどうの不調和なオルガンで初演された。
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)
真中には印度綆紗インドさらさをかけた長方形の紫檀したんテーブルがあって、その左右にはそれぞれ三脚の椅子いすが置いてあった。テーブルのむこうには燦然さんぜんとした六枚折の金屏きんびょう。壁には宝玉ほうぎょくが塗り込んであった。
藤の瓔珞 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
その頃の氏の態度は、丁度ちょうどうまれて始めて、自分の人生の上に、一大宝玉ほうぎょくでも見付け出したような無上の歓喜かんきに熱狂して居ました。キリストの名を親しい友か兄の様に呼び、なつかしんで居ました。
この小説につかってある「虫喰い算」について、僕は相当趣味をもっていて、目下毎月「モダン日本」のカラー・セクションに、その宝玉ほうぎょくのような問題をちびりちびりと出している。
たっと宝玉ほうぎょくも、そのうつくしさにくらべることができなかったのであります。
黒い塔 (新字新仮名) / 小川未明(著)