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定期
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ていき
それで周三は、
毎日畫架に向ツて歎息ばかりしてゐながら、
定期の時間だけ
丁と畫室に入ツて、バレツトにテレビン
油に
繪具を
捏返してゐた。
箱せこかと
思ふ、
錦の
紙入から、
定期だか
何だか
小さく
疊んだ
愛知の
銀行券を
絹ハンケチのやうにひら/\とふつて、
金一千圓也、といふ
楷書のところを
見せて
其内定期の三
週間も
過ぎて、
御米の
身體は
自からすつきりなつた。
御米は
奇麗に
床を
拂つて、
新らしい
氣のする
眉を
再び
鏡に
照らした。それは
更衣の
時節であつた。